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昭和 近代文学 名著復刻版

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1926〜1943(昭和元年〜昭和18年)
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#風立ちぬ

風立ちぬ

堀辰雄 34歳。 白を基調とした上品で美しい本。非常に丁寧な作りで製本されています。色は白と茶、背表紙の表題はゴールド。 自身も病を抱えながら婚約者とともに長野県の療養所に入院、のちに婚約者は死去。「風立ちぬ」はそのときの体験に基づいて書かれています。 ポール・ヴァレリーの詩、「海辺の墓地」より。 生きなくてはいけない。という意味だそうです。 ただ私が感じたのは「生きてみようかなぁ」のほうがなんとなくしっくりくる。当時の結核は不治の病。堀自身が長年の病に苦しめられ・

聖家族

堀辰雄 28歳。 師としていた芥川龍之介の自死に衝撃を受ける。その後、芥川や堀自身を含む関係者をモデルとした「聖家族」を出版(江川書房)。 本体と厚紙(表紙)というちょっと変わったタイプの装丁。無駄な装飾がまったくありません。 私の憶測ですが、本全体が真っ白というのは喪に服すという意味なのかも・・。 アンカット版。まるで小さな絵本のよう。 大学に入学した年の夏。軽井沢で芥川と室生犀星の近くで暮らす。堀にとっては忘れられない貴重な体験だったようです。若い頃の思い出ってい