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昭和 近代文学 名著復刻版

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1926〜1943(昭和元年〜昭和18年)
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#本が好き

新篇 路傍の石

山本有三 54歳。 奉公に出された吾一が多くの困難にぶつかりながらも成長していくストーリー。昭和16年の夏、厳しい検閲の監視の下にて出版されました。 山本有三と主人公(吾一)との共通点、それは「呉服屋での奉公」。山本自身は奉公先から逃げ出したそうですが、小説の主人公は何度も困難に立ち向かうことになります。 ◉装釘 南沢用介(白井晟一〜建築家) 著者 山本有三 発行書 岩波書店 戦後は議員、1965年には文化勲章を授与されるなどして、87歳でこの世を去りました。 *

風立ちぬ

堀辰雄 34歳。 白を基調とした上品で美しい本。非常に丁寧な作りで製本されています。色は白と茶、背表紙の表題はゴールド。 自身も病を抱えながら婚約者とともに長野県の療養所に入院、のちに婚約者は死去。「風立ちぬ」はそのときの体験に基づいて書かれています。 ポール・ヴァレリーの詩、「海辺の墓地」より。 生きなくてはいけない。という意味だそうです。 ただ私が感じたのは「生きてみようかなぁ」のほうがなんとなくしっくりくる。当時の結核は不治の病。堀自身が長年の病に苦しめられ・