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COVID-19のおかげで,地方からでも国際標準化活動が容易にできるようになった.その結果...

最後に東京に行ったのは,2020年1月.最後に海外に行ったのは,2020年2月.それまでは,月に少なくとも3回は東京へ,年に4,5回は海外に出向いていた.

私は,国際標準化団体,IEC(国際電気標準会議),ISO(国際標準化機構),に 国際エキスパートとして派遣され 国際標準化活動を行っている.特に IEC では 国際副幹事としてあるグループ(Technical Committee = TC と呼ぶ)の運営のお手伝いをしている.以前は,東京都下に住み,それらの活動のために 週に3,4回都心に出向き,年に4,5回海外出張をしていた.3年前に縁あって岡山の会社に転職し,幸いにも 同じ国際標準化活動をさせていただいている.転職した時点では,すべての会合は対面で行われていた.何度か,”岡山に住んでいるので,テレビ会議にしていただけませんか”,とお願いしたことがあったが,曰く ”TV会議設備が整っていない”,”ネットワーク環境が整っていない”,”設定などできる人がいない” などなどの理由で断られ続けていた.

2020年2月 状況は一変した.すべての会議,打ち合わせは ZoomなどのWeb会議を使って行われることになった.最初のうちは,つながる,つながらない,音声が途切れる,画面が見えない など 様々な問題が発生したが,徐々に解消されスムーズに運営できるようになってきた.2020年2月に初めて国際会議をWeb開催した際には,慣れていなかったため 長時間のWeb会議を約一週間連続して行ったことがあった.そのような長時間ぶっ続けのWeb会議は 精神的な疲労(長時間,ヘッドフォンをつけて,英語でやりとり続けるため)がたまり,効率が良くないこと などがわかってきた.最近は,1日の会議時間を6,7時間ぐらいに収め,Web開催で物理的に束縛されない(宿泊費がかからない など)ことから,開催期間を長めに設定し,精神的な疲労を避けて 効率よく会議が行えるようになってきた.また,国内会議,打ち合わせもすべてWeb会議になったため,移動の手間を省け,出張費がかからず,また 必要があれば Web会議を2つ同時に行ったり,別の仕事をやりながらWeb会議を行う,などもできるようになった.

これまでは,このような国際標準化活動は主に東京のみで行われており,多くの場合 東京に近郊に住んでいる人だけが参画し,地方からはたまに東京に出張し参加する という状況であった.しかし たまに地方から参画するだけ では 話の流れについていくことができず,結果的に地方からは参画できない,しにくい という状況であった.なぜならば,国際標準化活動は,対面会議,打ち合わせが多いため,地方からの参画は容易ではない と考えられていた.しかし,期せずして テレワーク,Web会議の普及により 場所に束縛されず 地方からでも容易に参画できるようになってきた.

このようにして 地方に住みながら 一見 海外とは無縁のように考えられる地場企業で働きながら,一方で国際標準化活動を行い,結果としてその地場企業を東京を飛ばして海外に羽ばたかせる という働き方ができるようになった.

#日経COMEMO #地方で可能になった働き方

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