綺麗に散っていく花が思い浮かびました

机上の花瓶。もうすぐ萎れそう。
薄明かりの部屋で、それが鮮やかだった時を探そうと、花に触れた。

なにも見えない。暗闇の中に突然放り出されたみたい。
ほしかった音が聞こえない。
見たかった景色が見えない。
どこを探しても見つからなくて
何も見えなくて
悲しくて
胸が張り裂けそうで
耳を塞いでうずくまった。
こんな音なら聞きたくなかった。
でも、どうして?ずっと頭から離れない。
ふと、やわらかい光が差して顔をあげる。
そうしたら、そこにいた。
不確かさを抱えて、確かにそこにあたたかい光が。幸せだったあの頃が。

そこからどうしてきたのか、わからないけど。でも自分は今もここにいるみたい。
ずっと視界にもやがかかってるんだ。何を見ても、かつての光を投影してしまって。
もうそこにはいないのに。

暗がりの中、思い出とともに虹色の淡い光が浮かんでは消えて、浮かんでは消えて。
まるで花びらが落ちていくみたい。
花弁がすべて散ってしまったら、今見えている景色はどうなるんだろうね。

ねぇ、もう一度あのときの光にふれてもいいかな。
ただ綺麗に咲いていたあの頃に戻ってもいいかな。

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