tokyo short story

SE スマホの目覚まし→止める
布団の衣擦れ

私「むぅ…。朝か………。」

私「蒸し暑い日が増えて、だんだんと夏を感じるようになった。季節に変化はあっても、私の日常に何ら変わりはない。いつものように朝を迎え、いつものように身支度をし、アルバイトへ。」

SE 電車の発射音・アナウンス・ドアが閉まる音
BGM 電車のガタガタ音

私「電車に揺られながらのSNSチェック。これも毎日のこと。みんな楽しそうで何より…ん?」

私「何これ。新作の期間限定アイス…?へぇ、クチコミも上々だし、これは食べてみる価値あるかも。よし、バイト後のご褒美にしよう。」

BGM 電車のガタガタ音 FO

私「大学は楽しい。友人もできた。上京してからの一人暮らしも、そんなにホームシックもなかったし充実していると思う。バイトは…まあ嫌なこともあるけど、それ以上に楽しいこともあるから続いてる。それにこの生活ももう3年目。慣れてしまえば毎日同じことの繰り返しって感じだ。」

SE コンビニのベル・ビニール袋・足音(セリフが入ったらBGレベル)
BGM 道路の環境音

私「ふぅ。よっしゃ、バイト終わって無事アイスもゲット〜!家着くまでに溶けちゃうから、近くの公園でたべよっかな。」

SE 足音UP→FO
BGM 道路の環境音 FO

私「(ベンチに座りながら)よっこいしょっと。もう暗くなってきちゃった。1日早いな…。さて。ご褒美ご褒美。」

SE アイスの袋を開ける音 

私「んー、バニラのいい香り!いただきまーす。(頬張りながら)うん、うんまい!(飲み込んで)これは買って正解だわ…。」

私「そういえば、高校生の時もこんな風に近所の公園で1人アイスを頬張ったっけ。懐かしい。」

私「でも、あの時の景色と今見える景色はまるで違う。ここはビルが立ち並んでるし、夜なのにキラキラ光で溢れてるし。星なんて見えやしない。(アイスを再び頬張る)」

BGM 何か しっとり系?切ない系?ピアノ?

私「上京してもう3年。あっという間だった。私はやりたいことをやるためにここへきて、確かに東京でなくちゃできないような経験もたくさんできた。後悔はないし、自分の視野を広げるためにも上京してよかったなーって思う。…でも、なんでだろう。時々、どうしようもなく虚しさを感じるんだ。」

私「この3年間で私は変われたんだろうか。どれくらい成長できたのかな。勉強して、バイトして生活費を稼いで、寝てまた起きて。なんか、生きるので精一杯。夢に向かってまっしぐらな私はどこかへ消えてしまった。やりたいこととやるべきことがいつの間にか分からなくなってる気がする。このまま私、大人になっちゃうのかな。」

私「あんなに憧れていた東京…。今はただ明るくて、なんだか寂しい。」

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