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3ヶ月先を意識するしかけ

新卒で入社した広告会社の壁には、大きなポスターのようなカレンダーが3カ月分貼られていた。たしか、イノベーター(innovator)というロゴが入った数字だけが並ぶシンプルなカレンダー。1ヶ月1枚。これが3枚並んでいた。それは、常に「3ヶ月先を見て仕事をせよ」という暗示だった。3ヶ月とは、ワンクール。テレビ業界での最小の企画単位でもある。

その会社を辞めてもう20年以上にもなる。ワンクール先を見るほどの余裕のない、その日暮らしに近い、自転車創業状態をおくっていたわたしは、この暗示慣習を思い出した。壁にカレンダーを貼る余白はないが、デスクの上ならば、卓上カレンダーを3ヶ月分並べておける。

やってみた。すると、考えずとも意識はこのワンクールの期間を無意識に意識することとなる。本日。7月が終わり、8月から始まる3ヶ月分にセットし直した。すると、「10月」のカレンダーが現れた。夏真っ盛りであるにも関わらず、ワンクール先は紅葉も終わった晩秋である。その翌月は年末も視野に入る11月になるのだ。これには、ハッとした。

「暑い、暑い」とボーッと日々を過ごしてはならない。3ヶ月後の晩秋のころを考えた動きを今から準備しておかなければならない。3枚並べた3ヶ月分のカレンダー掲示するということは、中期的な視点を忘れないための、いい仕掛けだと思う。社会人最初におせわになった会社での、忘れ得ない良習慣であった。

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