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「絶対だいじょうぶ」になれる無敵の漫画

講談社の少女漫画雑誌『なかよし』にて、1996年から連載開始、1998年からアニメ化された「カードキャプターさくら」という漫画をご存じだろうか?


「カードキャプターさくら」って?


作者であるCLAMPは、2022年4月に公開された映画「ホリック xxxHOLiC」の原作も手がけており、「カードキャプターさくら」はそのCLAMPの代表的作品ともいえる。2001年には、第32回星雲賞を受賞。「世界中で世代を超えて愛される国民的作品」と謳われ、関連書籍の累計発行部数が2,200万部を突破。なんと2021年には連載25周年を迎え、現在もなお『なかよし』にて人気を博している。
 
今回は、この「カードキャプターさくら」を、今この文章を読んでいるあなたにご紹介していきたい。


ヒロインでヒーローだった


この作品の主人公は、小学校4年生の女の子、木之本さくら。ある日、さくらは父の書斎で不思議な本を発見する。その本から現れたのは、なんと封印の獣ケルベロスだった。ケルベロスが守っていた魔法のカードは、さくらが封印をといてしまったことで街中に散らばってしまう。カードを集めるために、さくらは「カードキャプター」として、魔法を使いながら次々と事件を解決していくのだ。

いわば、「カードキャプターさくら」は、今流行りの「魔法少女」ジャンルの原点だと私は思っている。大切な人たちが住む街を救うために、人知れず「敵」と戦う女の子。さくらちゃんは、この作品のヒロインであって、ヒーローなのだ。

芯の強さと優しさを兼ね備えた彼女は、その反面で友達や好きな人のことで悩んだり、部活動や学校行事に一生懸命になったりと小学生らしい一面を持っている。そんな等身大の彼女に、すぐに虜になってしまうであろう。

私がこの「カードキャプターさくら」と出会ったのは、小学生の頃だった。漫画が好きな母に勧められたのがきっかけだったが、みるみるうちに夢中になった。思春期時代の私のバイブルといっても、過言ではない。図書館へ行ったときには、「もしかしたら私も魔法の本を見つけて、魔法少女になれるかもしれない...。」と幼心にドキドキしたことを今でも覚えている。

さくらちゃんが登校時に履いていたローラーブレードを両親に買ってもらい、さくらちゃんの髪型を真似してショートにした。将来もし女の子がうまれたときは、「さくら」と名付けたいと思っていたぐらい、私の憧れの存在だった。そして、アラサーになった今も、彼女のような人間になりたいと思う。

この作品には、様々な伏線が張り巡らされており、その綿密なストーリーの作り込みは圧巻である。また、1990年代には珍しく、性別や年齢を超えた恋愛が繊細に描かれており、またそれを誰も否定することのない世界観が作りあげられている。当時はやはり賛否両論あったかもしれないが、私はジェンダーレスについての柔軟さもこの作品のよさだと思った。
 
次に、登場するキャラクターが魅力的なのも人気の一つだ。「封印の獣」として関西弁を喋る人形、羅針盤を使って戦う男の子、不思議な力を持つ兄...など、幅広いキャラクターが活躍し、この作品を盛り上げている。必ず「推し」が見つかるはずだ。

また、「敵」とされるキャラクターや魔法カードも、各々の気持ちや背景がしっかり描かれていることで、決して「悪」と判断できないのがポイントだ。さくらちゃんの目指している世界は、そういった相容れない存在と「対立」するのではなく「共存」すること。そこは、彼女の人柄があらわれたゴールといえるだろう。

誰かがバッドエンドで終わる世界ばかりではない。この作品は、ハッピーエンドが好きな方におすすめできる。


無敵の呪文


最後に、「カードキャプターさくら」の中で登場する、ある名台詞を紹介したい。窮地に立たされたさくらちゃんが、ここぞというときに口にする言葉だ。
 
それは、

「絶対だいじょうぶだよ。」

である。どんなに辛くても、悲しくても、くじけそうになっても、この無敵の呪文がさくらちゃんと周りの人たちにパワーと勇気を与えた。そして、読者の私のことも励ましてくれた。シンプルな言葉だからこそ、私の心にストレートに響いた。曖昧な表現であっても、「そっか、なんとかなるよね。絶対だいじょうぶだよね。」と不思議にもそう思えた。
 
私は、この無敵の呪文を昨今の若者たちにも届けたい。これは、決して無責任な言葉ではなく、「自分を信じること」ができるおまじないだと私は思っている。
 
老若男女に愛されてきた、「カードキャプターさくら」。ファンタジーが好きな方には、特におすすめしたい作品だ。現在本誌では、中学生に成長したさくらちゃんの活躍を見ることができる。また、CLAMP作品は他作品との伏線もあり、それを読み解いていく醍醐味もある。一度手を出すと、すべての作品を読破したくなるので要注意だ。
 
仕事や育児で疲れてしまったとき、ふと立ち止まって優しい気持ちになりたいときは、「カードキャプターさくら」をぜひ読んでほしい。
読み終わったあと、きっとあなたは、「絶対だいじょうぶ」になれる。




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