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いびつな愛情 第6章 ~中絶の文脈を読む~

 最初の年は、結婚式に来てくれた全員に、年賀状を送りました。来てくださった感謝を込めて、結婚式の写真を入れた年賀状を送りました。
 次の年の正月は切迫早産で里帰りしていたため覚えていませんが、その翌年には息子の写真入りの年賀状を送りました。
 MYさんは結婚していたので、奥様が最初にこの年賀状を見るかも知れないことを考慮して、飽くまで「既婚の元同僚」という立場で、「私には愛する夫と息子がいて、あなたのご主人には以前、職場でお世話になり、大変感謝しております」という文脈で。
 もちろん、そんなことは書きませんが、家族の写真入りの年賀状には少なくとも「安心してください。あなたのご主人を奪うつもりはありません」というメッセージが込められていると、私はこの立場から思っています。
 そうして年賀状を送ると、MYさんからはメールが来ました。
「年賀状ありがとう! 今度はミドリちゃんの写真も入れて! 見たいよ!」
 なんとも平和なメッセージに、私は救われていました。この頃は子育てにも忙殺されていましたし、夫には女性として扱われず寂しさを募らせていたので、私はとても居心地良く、MYさんの言葉を受け取っていました。
 なんとなく嬉しくて、メールのやり取りを楽しんだ時に、MYさんから食事に誘われました。その時の私はパートとして「おじいさんと女性だけの会社」に職場復帰をしていました。そのパートを水曜日だけ定休にしていたので、私は水曜日、子供を保育園に預けて、MYさんとランチをしました。

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