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初めての失態!!

歌劇場合唱団に入団して間も無い頃
強度の方向音痴の私にとって
劇場の舞台裏の建物内は巨大迷路のようで
合唱団のリハーサル室に無事辿り着く事だけでも
物凄く不安で緊張した日々を過ごしていました。

シーズン真只中に入団した私に
準備期間なんていう嬉しいものはなく
譜読みが済んだ段階で次々と舞台に投げ込まれていました。

慣れない舞台衣装やかつら、
厚い舞台化粧
見た目は良いけれど、これらをつけて歌うという事が
何と煩わしく大変な事なのかも
直ぐに身体で経験しました!

そんな毎日奮闘していたある日
夜の公演中、
「今日の最終幕は少人数グループであなたは入っていないので
帰宅していいわよ」
と言われました。

そうか、帰っていいのね!
と、喜び勇んで楽屋に戻り重たい衣装とカツラをを脱ぎ
スッキリ着替えたところで
「花残月さーん!至急舞台にお願いします!!」
とアナウンスが!!
なにいいい??
と、大急ぎで楽屋裏にあるモニターを見に走ると
画面いっぱいに
華麗なペアダンスを踊る仲間たちの光景が!
と思うや否や
今さっき衣装を脱がせてくれた衣装係さんが真っ青になって私の元へ駆け込んできました!
「花残月さん!ごめんなさい!もうワンシーン有りました!
帰っていいのはこの後でした!」

と彼女も平謝り (と言うのも衣装係の彼女は劇場勤も長く、合唱団の出番も完璧に把握している人だからです)

「そんな謝らなくていいですよ、舞台に上がる私のミスだもの」
と私も平静を装って言いましたが、
心臓はバクバク状態

私服のままモニターを凝視すると

舞台右端最前列に
仁王立ちになっている私のパートナーが!!

皆が優雅に踊っている横で一人胸を張って立っている合唱団員中ほぼ1番高身長な彼、

画面越しにも認識できるくらい顔が怒っていました!

もう私服のまま舞台袖まで走って行くと
そこには合唱団のボスの姿が有りました

「すみません!!
私の勘違いで今日は終了だと思い楽屋に戻ってしまいました!」

もう必死の思いで謝るわたしに、

「色々な作品で出番に変化があるから毎回きちんとチェックするようにしてください」
と一言。。。

そして付け加えるように

「なんで彼はパートナーがいないのに出ちゃったんだろうなあ。。。」

その足ですぐに私はダンスパートナーに謝りに走りました!
「遅れて君がすぐ来るかと思ってつい出ちゃったんだよ」
と、彼はもう怒っていない様子でした。

けれど彼にとても恥ずかしい思いをさせてしまい、
しっかりと謝りました。
その日は不覚にもこんなミスをしてしまったことが
自分でもショックで
眠ることができませんでした。

今となっては笑いばなしですが
あまり思い出したくない経験です。

ところが
しばらくして
私も逆の立場になるのです。
さて、
一体何が起こったのでしょう?

つづく。。。
あ、これ
一回書いてみたかったんだ(笑)




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