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ケアワーカーの日常? 内線電話

「シーツの搬入の方が来てるんですが?」

掛かってきた内線電話。
しかし、ここは明け方の誰もいないと思われているはずの地下の風呂場。

なぜ俺がここにいる事が分かったんだ??

〜〜〜〜
早番業務は朝7:00からスタート。
正直早起きは大の苦手。
遅刻も何回かある。

そのため、ほとんど寝たか寝てないかくらいの調子のまま、まだ暗い時間帯。
間もなく5時というくらいに無理矢理に家を出る。

施設に到着はだいたい5:40くらい。
宿直さんは居るが、雑用のためか、いつも事務所には居ない。

誰にも見られずに地下の更衣室へ行き、
誰にも見られずに着替えを済ませ、
誰にも見られずに地下にある風呂場のベッドに横になる。

こうして、早番の時は仕事前に一寝入りするのが日課になっていた。

〜〜〜〜〜
ある日の朝、早番の日。

いつものようにサッサと地下に向かって着替えを済ませ、ベッドに横になった。
ウツラウツラとしていた時、

プルルルルルル!!!

風呂場の内線電話が鳴る

半分寝ぼけていたためパニック。
「あれ??まさか寝坊!?」
時計は6:10くらい。まだ全然始業の時間では無い。咄嗟に電話に出る。

『あのー、すみません、シーツの搬入の方が来てるんですが?』

リース製品であるシーツなどのリネン類を綺麗にした物と交換しにきてくれる業者だと思うが、こんな時間に???

面倒くさかったので、
「あー、えーと事務所の方見えてからにしてもらってください」と、つっけんどんな言い分で返すと、

『あぁー、わかりましたハーイ。』と電話を切られた。

そうして再びベッドに横になるが、
ふと疑問が湧いてくる。

今の電話は誰??
再三繰り返してきたが、ここに身を潜めている事は誰も知らないはず。
そもそも、夜間帯に来客だったりの対応がある時は、まず各フロアに常駐している夜勤スタッフに掛けるはず。第一にこの、誰も居ないはずの風呂場になど掛けてくるはずが無いのだ。

不可解な出来事に頭を回らせてしまい、そのまま始業時間まで目が冴えてしまっていた。
7:00前にフロアへ上がって行く途中に、事務所に向かおうとした。

しかし、
宿直さんから「電話なんて掛けてませんけど?」と言われたり、表にシーツの搬入のトラックが居なかったら、不可思議な現象に巻き込まれた事が現実となってしまう。

それが怖かったので、事務所には立ち寄らずにフロアへ向かった。

「怪奇現象」と分類するには何とも微妙な体験。
ただ、俗にいう「オバケ」というやつは、
実像として現れたり、壁からニューっと出てくるとかではなく、

こうして、「今のなに??」くらいの出来事として起こるものもあるのかしら??

考えれば考えるほどゾワゾワした日だった。


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