奪われていなかった。靴、箱の中にいくつもいくつもしまい込んで。靴を奪ったと恨み、睨みつけていた先には、私に靴を、私にいくつもの靴を、くれた人がいた。奪われていなかった。そうすることしかできなかった。私が選んだことだった。持ち主のいない実態のない靴を履き、そして私は脱いだ。
画像1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?