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アイスクリームを愛しふたりは、

アイスクリームをごちそうし合ったこと、「世界のどこかでまた会おうね、絶対に」と言ってぎゅっと肩を抱きしめて別れたことそれが数年前彼女のくれた手紙の言葉そっくりそのままだったこと、中身の見えない高速バスにきょろきょろと手を振ってくれていたその姿、てきぱきとしたところのびのびとしたところ、ずっと笑っていてくれたこと、自分のために生きているところパンダのぬいぐるみに話しかけるところ、ねえ今日も最高にかわいいのはあなただよ、どこからどの角度からも最高に、あなたはかわいくて格好良くって、とてもやさしい人間です。うつくしくわたしにはもったいなく、何のご褒美?と聞きたくなるようなそんな時間だった。あたたかく平和で平凡な、秋の空気と風吹くなかを歩いて、たどり着いて、ドアを開けて、食べて、大仏を怖がって、歩いて、ずっと話をして、そしてふたりはベンチでアイスクリームを食べる。ピスタチオのはジェラートだったけれど。アイスクリームを愛しふたりは、お腹いっぱいでも食べてみたい気持ちを大切にして、それぞれの今日を明日を生きる、生きている。

またたくさんあたためてあたためられて、その先で絶対に会おうね。クマだらけの頬でわたしは今これを書いて、身体と心はちょっとちぐはぐで、いつも心の少し後をついてくる。月のように。これはほんの見せびらかしで、本当のラブレターはもちろん、あなただけに。

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