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【お悩み相談】モノローグ・シーンの同時進行法は?

久しぶりのお悩み相談です。

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まずは結論からいきましょうか。

Q モノローグと、状況・情景・キャラの姿をうまく同時進行する方法はないか?
A あると思うけど、問題は多分そこではない。

お答えするか、かなり迷いました。なにせ何を言っているのかさっぱり分からない。
自分の読解力に不安を覚えつつも、二日ほどかけ十回以上読み、多分こういうことだろう、と見当をつけたので、それに沿ってお答えします。見当違いだったらすみません。わたしの読解が間違っていて、かつさらにアドバイスが必要だと思われたら、改めてマシュマロをお送りください。なお、その際はご自身で推敲した上でお送り頂けると幸いです。


では、まず始めにマシュマロの内容を整理します。

【理想】
漫画のように、モノローグとシーンを同時進行で描写すること。
【悩みの発端】
「場面転換した時に一瞬どこにいるか迷うことがある」(その後キャラの会話などで察する)という指摘を受けた。
【実践してみて】
場面転換でモノローグがぶったぎられてしまい、繋がりがわかりにくくなってしまう。
【失敗の原因の自己分析】
情景描写の入れ方が拙い。
【相談内容】
モノローグとシーンをうまく同時進行する方法はないか?
【補足】
以下のように捉えました。
●モノローグ=物語全体の俯瞰位置に立つキャラクターの独白
●状況・情景・キャラの姿の描写=シーン(とある一場面での出来事)


文面に難癖をつけて申し訳なかったですが、わたしが「これは実践してから相談してほしい」とお願いしてある内容は全て押さえてあって、それは本当によかったです。ありがとうございます。
ご自身で情景描写が拙いせいだと思われているなら、情景描写を磨くのは有意義です。それはご自身でやって頂くとして、それ以外のことを考えましょう。

わたしはマロ主の小説を読んだことはありませんが、知人さんの「場面転換した時に一瞬どこにいるか迷うことがある」というご指摘は、恐らく正しいと思います。この短いマシュマロの文面にでさえ、そのクセは出ています。
クセ、というか、構成下手でしょうか。
読んでいて「え、何の話?」と理解を妨げられることがとても多い。「キャラ解釈」に何の違和感もなく没頭させたい、とマロ主はおっしゃっていましたが、わたしも「お悩み相談」に何の違和感もなく没頭したかったです。そしてそれは、文章全般に言えることです。

「何を書きたいか」は書き手の自我なので、書き手が好きに持ったらいいです。まとまった文字数だろうが、語彙や文章の美しだろうが、精緻さだろうが、キャラ解釈だろうが、エンタメだろうが、何だってよろしい。そこに貴賎や優劣はないし、他人が触れられるものでもない。書き手にとってとても大事なものなので、どうぞご自身で大事にしてください。
ただしそれは、読み手には一切関係がありません。
では読み手に関係のあることとはなにか。

「この文章は読み手わたしに何を伝えようとしているのか」

です。
書き手の自我ではありません。文章そのものです。もちろん自我が文章を書くんですが、読み手の方が触れるのは文章のみです。そこに込められた熱量も魂も愛も思い入れも(それが文章を盛り立てることは多々ありますが)関係ないんです。何が書かれているのか、それはどういう意味か。それを伝えられない文章は、文章として失敗しているとわたしは思っています。

書き手の頭の中にしかない事柄を他人に伝えるというのは、とても難しいことです。
だから書き手は頭を悩ませ、より伝わるよう、読んでいて余計なストレスがかからないよう、分かりやすいよう、語彙・構成・文量・要素の取捨選択……様々な手を尽くして文章を書くのです。

試しにマロ主の文章を、わたしが理解できるように再構成してみました。

「モノローグ」と「シーン」の描写をうまく同時進行する方法はないでしょうか?
わたしの理想は漫画のように「モノローグ」と「シーン」を同時進行で描写することです。
しかし先日、「場面転換した時に一瞬どこにいるか迷うことがある」(その後キャラの会話などで察する)という指摘を受けました。
改善しようと試みましたが、モノローグがぶったぎられてしまい、結果として繋がりがわかりにくくなってしまいました。理想である「モノローグ」と「シーン」の同時進行とはほど遠いと感じています。
原因は「情景描写の入れ方が拙いせい」だと自分では感じました。
現時点の自分の実力で読み手の方にストレスなく読んでもらうためには「モノローグ」と「シーン」の同時進行を諦めるしかないのでしょうか。
もし、情景描写を磨く以外で方法をご存じでしたらお教えください。


マロ主が相談したいことはこういうことかな、と思うのですが、どうでしょう?
この再構成に辿り着くまでにわたしはすでに数日を費やしています。何度も読み直し、赤を入れ、メモを取り、マロ主が訴えたいと思われる要素をピックアップして、再構成する……その手間を、読み手の方はかけてくれると思いますか? 
というか、書き手として、その手間を読み手の方に強いていいと思いますか?

1万5千〜3万字ほどの文を半年前から月2程のペースで書く、それはかなりのハイペースです。それだけの文章を書けるのは凄いことです。筆力はあるのでしょう。ですがそのハイペースの中で、マロ主は推敲・校正はされているでしょうか? 自分の頭の中を何も知らない第三者が読んでも意味の通じる文章になっているか、そのことを念頭に置いて自分の文章を読み返しているでしょうか? キャラ解釈を最優先されるのは全然構わないのですが、推敲・校正でも「キャラ解釈をどんな日本語で書いたか」にばかり着目していませんか? これは邪推なので、そんなことはない、ということでしたら本当にすみません。
ですが、もしそうなら。心当たりがあるなら。
文章全体が意味を成しているか、読み手にストレスをかけない文章になっているか、そのことに着目して読み直してください。何故って、それが回り回って一番読んで欲しい「キャラ解釈」を突っかかりなく届けることに繋がるからです。

何故こんなことを言い出したのか。
マシュマロの文章に対し「何を言っているのかさっぱり分からない」と失礼なことを言いましたが、それは何も構成力に限った話ではありません。

藁にもすがる

冒頭のこれは「せっぱつまったときには、頼りにならないものでも頼りにする」の意味で、相談相手に使う言葉としては不適切です(一応断っておくと、わたしは特に怒ったり気にしたりはしていません、国語の問題です)。

理想は、読み手の方に「そんな解釈があって、それに従うとこういう結末になるなんて!」と驚いてもらいたいです。

ともありますが「理想は~もらいたいです」では意味が繋がりません。「理想は~もらうことです」に訂正すべきです。
この辺りは一度ないし二度きちんと推敲すれば気付ける箇所です。推敲した上で再送して欲しい、と言ったのはそういう点からです。

マロ主は情景描写の拙さが原因だと思われていましたが、わたしは多分、問題はそこだけではないと思います。情景描写を磨くことは表現の多彩さに繋がるのでいいことだと思いますが、マロ主が今すべきは「自分の文章ときちんと向き合うこと」だとわたしは思いました。

偉そうなことをたくさん言いました。言っていて我が身を振り返るべきところも多々あります。その上で言います。
どうか「他人に自分の意図を文章で伝えるのはとても難しく、繊細なこと」だという自覚を持ってください。読み手の方に対して驕らないでください。文章に対してどこか謙虚な気持ちを忘れないでください。文章は誰でも書けますが、伝わる文章を書くのは技術であり、努力であり、勉強の成果であり、読み手への尊重です。
そのことを胸に、どうか丁寧に文章を作ってみてください。そうすれば自ずと、あなたにとって最も大事な「キャラ解釈」をノイズなく読み手の方に届けられるようになると思います。


字書きお悩み相談まとめ
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