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私には反抗期というものがなかった。 父親が年中反抗期状態の飲んだくれだったので、その上私まで反抗したら、母があまりにも不憫だと思ったからである。 しかし、そんな私にもやりきれないことはあるのだ。 ある日、母と言い争った末、私は財布片手に家を飛び出してしまった。 当時、高校二年生。 季節はまだ暑さの残る9月頃であった。なぜ、そんなことを憶えているかというと、その日珍しく私は膝丈のズボンを履き、青いダボダボのTシャツを着ていたからである。 そのとき私は学校に向
私の母は、いろいろと世知辛いニュースが流れてくると、 「あぁ、長生きなんかしたくないわぁ」 と、よく言っていた。 しかし母は病気をしながらも、健康的な食事をしたりして、なんだかんだ身体に気を使っている。長生きしたくない、と口で言っていても、やはり長生きはしたいものなのかもしれない。 高校時代、職員室で、鳩のような目をした女の先生と、 「長生きしたいか、したくないか」 そんな話をしたことがあった。 私は長生きすることに消極的だったが、先生はその大きな目を輝かせ、