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まるで探検隊みたいだと思いながら、私は部屋の出入り口につるされた洗濯物をかき分けていた。 窓から差し込む陽光を目にしながら、洗濯物を外に干せない葛藤が胸の内に巻き起こる。本来であれば、最高の外干し日和。最高の布団干し日和のはずなのに、私は部屋のあちこちにつるしてある洗濯物を避けながら、部屋を移動している。 理不尽な気がしてならない。 だが、車のボディを見れば、黄色く微細な粉がまとわりついている。ベランダの桟にも、粉っぽいものが蓄積され、黄色く汚れている。 清
私が初めて映画館に連れて行ってもらったのは、4歳のときだ。 母からすれば、映画の途中で我が子が、 「おしっこ!」 なんて大きな声を出しはしないか、気が気でなかっただろう。実際、映画に行く日の朝、母は私に様々なことを言って聞かせた。 「おしゃべりしたらダメよ」 「前の座席を蹴ったらダメよ」 「足をぶらぶらさせたらダメよ」 「モゾモゾ動いたらダメよ」 「キョロキョロしたらダメよ」」 私はそれらの「ダメよ」を聞きながら、一つでも破れば、後からドカンと大きな雷を落とされる