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夫が起きてきた。 いつもより早く起きてきたような気がしたので、 「あれ、今日7時半に出るんじゃなかったっけ?」 と私が言うと、 「なぁに、すっとぼけたこと言ってんだ、このバカちんがぁ!」 と、夫から軽快なお叱りを受けた。私は出勤時間を誤って記憶していたのである。 「バカちんがぁ!」と勢いよく言われ、一瞬、テツヤが来たのかと思った。もちろん、小室ではなく、武田の方だ。私の誤ちが夫の中に眠っていた武田鉄矢を目覚めさせてしまったようである。 鉄矢が目覚めたとなれば
少し苦戦していたエッセイがあったのだが、急に書けそうな気がしたので、私はパソコンのキーボードをパチパチ叩いていた。その日夫は休日で、隣室でラジオを聴いていたのだが、 「ちょっと、車乗りに行ってくるね」 と言って出掛けていった。懸命に書いている私の邪魔をしちゃいけないと思ってくれたようだった。夫がいると書けないわけではないのだが、なんとなく「おなかすいてないかな」「食べたいものがあるかしら」と気にはなってしまう。そういう私の性質を知っている夫の気遣いを感じた。 1時
私は暑いのが苦手である。 近頃涼しくなったおかげで、エアコンのない台所での仕事もしやすくなってきた。我が家の台所は、真夏になると35度近くに達する。高温多湿もいいところだ。一度玄米を米袋ごと台所に置いておいたら、秋口に虫がわいてしまった。それ以来、夏場、買い置きの玄米は、エアコンのある部屋に移動させている。 9月に入り、30度を超す日も少なくなってきた。室温も25度前後をうろうろしている。こんなに涼しいなら、もう玄米を台所に戻してもいいだろうと思っていた矢先、夫が言った