執念第一 #毎週ショートショートnote
「お客様第一よりも執念だ! 執念第一で契約を取ってこい!」
それが口癖だった上司のパワハラのせいで退職した私は、その後も上司の顔がフラッシュバックする症状に悩まされていた。
テレビ体操第一を見て動悸がしたり、運転中、安全第一の看板に動揺して事故りそうにもなった。《第一》という字を見ると《執念》を連想し、上司の顔が浮かぶ。そんな呪いをかけられているようだった。
今、私の唯一の楽しみは、娘が出場する陸上大会を観にいくことだ。リレーの選手に選ばれ、頑張る娘を見ていると