二匹の猫と楽しい毎日ー11(<そら>が、ベランダからまた落ちた)
【前回】<みかん>と名付けられた子猫がやってきた。
1.先住猫<そら>と新しい子猫<みかん>
妻の部屋からケージ越しに<みかん>を対面させるようになってから一週
間くらいが過ぎた。
<そら>は<みかん>を見ても物珍し気にケージの周りをウロチョロするこ
とはなくなった。
思い切って<みかん>をケージから外に出してみた。
<そら>は「フンフン」とみかんのお尻の臭いを嗅ぐ。
それがいやなのか、<みかん>は「みゃー、みゃー」なきながら、ヨタヨ
タと妻の方に歩いていった。
妻は<みかん>を抱き上げ、<そら>に再度ご対面させた。
「<そら>ちゃん、こんにちは。<みかん>ちゃんよ」
子供に語り掛けるようにやさしく話しかけた。
赤ちゃんをあやす様な妻のしぐさを見て、女性の<母性本能>がこうさせ
るのかと感心した。
そのとき、突然<そら>が体を低くして「シャー」と口を開けて <みかん>を威嚇した。
僕は<そら>が<みかん>に飛び掛かかり、噛みついたら大変だと思って
、すぐに<そら>を抱き上げ寝室に連れて行った。
とりあえず、<みかん>のいない所で落ち着かせた。
結局その日は、<みかん>を妻の部屋のケージにもどした。
まだ、<そら>は、<みかん>を同居人と認めてないようだ。
もしかしたら、自分の縄張りへの侵入者だと思っているのかもしれない。
そんなことを一週間繰り返した。
2.やっと<そら>も落ち着いてきて、<みかん>をケージの外で遊ばせても、それほど反応しなくなった。
そして、今度は<みかん>を入れたケージをリビングに持ってきて、常時<そら>と同じ空間にいるのに馴れさせた。
やがて、<そら>は<みかん>をケージの外に出しても、とびかかることはなかった。
それから2週間して、<みかん>のベッドも妻の部屋からリビングに持ってきた。
<みかん>も<そら>になれたのか「みゃー、みゃー」となくなことはなくなった。
それでも時々、布団や押し入れの中に逃げ込むこともあった。
おそらく、いつも追っかけてくる<そら>がうるさいのだろう。
3.やがて2匹は追いかけっこをするようになった
<そら>を飼っている事はマンションの家主は知っているが、猫をもう一匹飼っている事はまだ話していない。
元々、このマンションは「ペット不可」のはずなので、話しづらい。
妻とはそのうちどこか「ペット可」のマンションを探さなければと話している。
二匹が追いかけっこをして騒ぎ出すと、TVの音を大きくして家主さんに見つからないようにした。
そして部屋の壁にカーテンをかけ、フローリングの床にもマットを敷き、音が外に出ないようにした。
しかし子猫の成長は早い。
ときどきベランダの手すりの上に二匹が飛び乗ることもあった。
そんな状態で二か月余りが過ぎた。
いつものように二匹が走り回っていたのが、突然静かになった。
ただやたらと<みかん>の「ミー、ミー」というなきごえが聞こえてきた。
見ると、<みかん>がベランダに出ていて、下を見ている。
いつの間にか閉めていたガラス戸の隙間からルーフバルコニーに出ていたのだ。
どうしたものかと、ベランダの下をみると<そら>が道路の上に落ちていて動かなくなっていた。
我が家は3階建てのマンションの角部屋なので二方向にベランダがあり、片方はルーフバルコニーになっていて、道路に面している。
そこの手摺は低くなっていた。
「<そら>~今行くぞ」
僕は大きな声をだして、玄関から飛び出た。
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