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Baby, it's time ープロローグー【小説】

何も云いたくないから

ただ上の空だ。


それを知らない彼は
心配そうに握った手に力を込めたり、
『どうしたの?』
ときいたりする。

年下って感じだなぁと思う私は
大概おばさんだな、と思う。

ちゃん付けで呼ばれる自分の名前を
不思議だと思ったり、
小学生のとき、一学年下に何故かモテて
何気なく告白されてしまっていた帰り道を思い出したり、
そういうことがぱったりなくなった昨今の渇き具合の自分に苦笑したり、
好きだった人のギターを弾く時の指先が夢に出て来たり、

そんな毎日の中で
気持ちの変動に大きなところはなく
ただ上の空だ。

隣にいる彼は
私より一つ下で
私より頭一つ分背が高くて
目が少し細くて
あんまり喋るほうじゃない。
眼鏡があんまり似合っていなくて
素顔のほうがかわいいと思う。
日本語と英語と中国語を、
話すらしい。
電話で一度だけ、中国語で会話をしているのを横できいたことがある。
ちょっと頼もしかった。

気持ちに大きな変動はないが握られた手があたたかいことで
ただ上の空だ。

一緒にいてつまらなかったらごめんね、と思うのだが
さよならがきたら
それはそれと思って
今なら涙はふたつぶだろうと思う。
・・・そうやって言っておかないと、収拾がつかなくなる。

桜が目の前で散るので
思考がまとまらず
まとめる気もまるで起こらず
ただ上の空だ。

しろくまʕ ・ω・ )はなまめとわし(*´ω`*)ヨシコンヌがお伝えしたい「かわいい」「おいしい」「たのしい」「愛しい」「すごい」ものについて、書いています。読んでくださってありがとうございます!