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ガルフの金魚日記6

 今日は朝からすっきりと晴れわたり、いいお天気です。
ちょっとおませな秋ちゃんが、やって来てきました。この春から、小学校三年生になりました。

いつもにこにこしているのに、今日はどうしたのでしょうか。目に力を入れて、真剣な顔をしています。そして、ギュッとぼくの顔をにらみつけています。にらめっこをするつもりでしょうか。

そういえば秋ちゃんが小さかったころ、よく、にらめっこをしました。あのころのことを思いだします。
はい。では、お相手いたしましょう。

「オニさん、ぷくぷく。笑うと、ぷくぷく。アッ、ぷくぷく」
「ガルフ、さっきからなにやってるの。そんなんじゃないの。あたし、好きな人ができの」
「へえー。にらめっこじゃない。好きなひと。恋の悩みですか。それは、それは、大変ですね。ぷく」

「そうなの。どうしよう」
「う~ん。ぷく。恋の悩みはねぇー、ぷく。ぼくにはねえー、恋の悩みはちょっと…、ぷくぷく」
「そんなこと言わないで、少しは真剣に考えてよ。ねぇ、どうしたらいいと思う」

「う~ん、よくわかりませんが、その子のこと、好きなんでしょ。なら、好きっていってみたらどうでしょうか。ぷくぷく」
「そんなこと、いえない。はずかしいもん」

「だったら、だまってれば…、ぷく」
「いやよ。ケンちゃん、いっぱいお友だちがいるだよ。あたし…」
「じゃあ、好きですって、いったほうがいいんじゃないですか」

「やっぱりそうだよね。ありがとう、ガルフ。これからケンちゃんに会ってくる」
「がんばってね。ぷく」
秋ちゃんは、大きくうなずくと、一番お気に入りのピンクのワンピースに着がえて、飛ぶようにして駆けて行きました。

ぷくは秋ちゃんのうしろ姿を、胸びれを振りながら見送りました。
秋ちゃん、きっとうまくいくと思います。ぷくの予感、意外と当たるんですよ。
 ぷく、ぷく…、ぷく。

「フワァー」ぷくぷく。
 大きなあくびがでました。
 今日は本当にいい天気です。金魚鉢のガラス越しに外を眺めると、まったりとした青い海と緑の島、空にはトンビのつがいでしょうか、ピーヒョロロー、仲よく飛んでいます。

 あらら、あれは…。
向こうの方に、小さくピンクの服が見えます。
秋ちゃんの恋は、どうだったのでしょう。恋を知らないぷくですが、とても気になります。
                   明日の金魚日記へつづく

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