般若心経を使った舞台

そもそも戦争物を作りたくて、構成した1人の女性の物語。


1幕はある男女の話で、相思相愛の男女が戦争で引き裂かれ、
帰ってきたら結婚しようと約束する場面。


2幕は戦争に行った彼を想い続ける女の場面。


前半は彼を思う彼女の想い、後半は戦争が終わって戦争から戻ってきた人が乗った列車が来るたびに人並みの中に彼を探そうとする彼女。

どんなに似ていても、彼ではない事。


寂しさと不安を感じながら、それでも探す彼女。


3幕は般若心経を使って、彼の死が確定する場面。


1分2分のものだが前半30秒くらいは舞台が真っ赤なだけで、出ていかない。


そのあと、シースルーの水にぬれた衣装、髪も濡れてる状態でゆっくり登場。


膝をついて、お盆に座る。


4幕は彼を失ったことへの悲しみ、辛さ、喪失感、戦争に対する憎しみと恐れ
などなどを盛り込んだ、とにかくどんよりしたベッド。


曲の最後にはぶ~~んという飛行機の音がして、伏せた状態から、その遠くの飛行機をにらみつけて終わる。


5幕はじょんがらの曲に合わせ、ゆっくりゆっくり回転しながら遠くを観ながら立ち上がる。


そして、客席にゆっくり背を向け、何かに手繰り寄せられるように、ゆっくりゆっくり舞台へ。


そして、ゆっくり遠くに見える何かを見ながら、半転し舞台を向く。


今まで、無表情だった顔にゆっくり光が差し、何かに呼び寄せられるように手をゆっくり上げ、何か懐かしいものを見つけたかのような顔で笑顔を見せ、死ぬ。


この女性は結局後追いするという話なんだけど、
これがね~、意外とウケた。


お陰様で新宿ニューアートの4回目の男女入り混じる外国人観光客からのスタンディングオベーションを頂き、


名古屋銀映ではトリとトリ前の姐さんたちに「あんたの今回の舞台は寝起きにはよくない」と嫌みを頂き、

岡崎銀映さんでは異例の1度乗ったあとの2週後に行われるお盆興行で、その舞台をもう一回やってほしいので、お盆興行にぜひ来てとご指名を頂きました。


所属の劇場から、コース切りに預かりとなり、一番最初の名前を取り消され、
2週目から、所属劇場の社長の以前の偉大なる真子を頂いたにもかかわらず、
周囲からは「落ちこぼれ」となじられ、3か月くらいは踊り子の姐さんたちに無視されたり、いじめられたりしたこともあったけど、

周りの劇場主さん達はちゃんと見てくれていたんだなってホント嬉しかったです。


曲の構成はどうなってたか、今となっては覚えていないけど、
当時、夜来香や何日君再來、差し替えで木蓮の涙などもダンス曲に入れてたのも、外国人観光客に受けたのかもしれないです。


韓国や中国は日本と違い、戦争が割と身近にあり(徴兵制があるからね)
また、山口淑子さん、そう中国で有名だった李香蘭の曲を起用してたのも彼らからすれば馴染みある感じだったのかもしれません。



あの時のスタンディングオベーションで一番びっくりしたのは、白人男性がたまたまいて、その人がいたく感激し「ブラボ~~~!!」と叫んで手を叩いたこと。



実は舞台を観て、普段なら脱ぎあたりで、ロビーに撤収する女性観光客たちが、この時ばかりは席を立たずじっとみて、涙を拭いている人もいたんですよね。



私が発信しようとしたものと彼らが受け取ったものは、イコールだったかはわかりませんが、まぁなんとなく理解してもらえたのかなって思いました。


当時はアイドルイベントが多くて、なかなかそういう場ではこういうアンダーグラウンド系のって受けないので、出す場所間違えれば、あとで怒られることもありました(笑)


デビュー以降はすべての舞台構成や振り付けは自分でやっていたので、
言われれば別のものを出すこともありました。



だから、出せる場所ってなかなか少なかったんですよね・・・。



そんな中でも、認めてくれる劇場さんがあったことはとても幸せなことだったんだと思っています(*´∇`*)w

当時使っていた曲はたぶん実家に置き去りになっているので、探せば出てくるかも??です。


元ストリッパー&振付師の観月真子こと藤倉瑞城です。