見出し画像

池間島おばあの天然麦麹

clubhouseでご縁が繋がり宮古島の離島・池間島で作られてきた天然麦麹が我が家にやってきました。
何処の地域でもそうであるようにその土地で伝承されてきた作りをする人は次第に減り、池間島の天然の麹菌で麦味噌を仕込む最後の1人となってしまったおばあ。
そのおばあも歳を取り、この麹作りを最後にするというタイミングで一緒にその作りを体験させてもらった石川りかさん。

北海道から宮古島へお嫁入りした彼女は製麹経験はなく、しかもいきなりの天然麹作りに戸惑い、発酵と和ハーブを研究するその名も菌草研究家の上田涼子さんに相談を持ちかけ、涼子さんはclubhouseでroomを立ち上げました。
オーストラリア・パース在住でお味噌作りを広める活動を展開する発酵仲間のひろしさん、愛媛県宇和島で麦だけの麦味噌を作る井伊さん、天然麹ならばとお呼び掛かった私でした。
テレパシー並に繋がれる。凄い時代ですね。

その独特の作りと元気な麹をご紹介したいと思います。

池間島その驚くべく麦麹作り


原料 小麦(玄麦)
種麹 なし(自然生え)

おばあの家つき天然麹菌、レインコート(化学繊維)むしろ等に付着した天然麹菌。

製麹期間 7〜10日間


製麹時期 気温約30℃

作業工程
①玄麦を臼で軽く突く
②ふすまを飛ばしお粥状に茹でる
③むしろに広げ天日干しする
④パラパラになったらザルに入れ、海水を掛けて程よく乾燥させる。
⑤タンスの引き出し(麹蓋)にレインコートを敷き、原料の麦を広げ、ススキの葉を載せ、さらにむしろを被せる。

画像1

ビリジアン色の臼

発酵マニアがこぞって驚いたのが、天然の麦麹を突いて味噌仕込みに使う臼がビリジアングリーンに染まっており、これが麹由来だと言うことでした。

これは磯で見る藻の色で麹⁉︎
皆の頭の上にクエスチョンマークが立ち並びました。
聞けば臼以外にも生えているそうですが、こればかりは現地に赴かなければ分からない。
謎のビリジアンなのです。

画像2

池間島天然麹を培養してみる

お米の取れない宮古島味噌は麦味噌だそうで、通常麦味噌は大麦で麹にしますが、こちらは小麦です。
譲り受けた小さじ一杯ほどの貴重なおばあ麹菌を増やしておこうと先ずは慣れた米で2種類のやり方で培養することにしました。

自然栽培亀の尾を少し磨いて蒸し、椿の木灰をまぶしおばあ麦麹を種として数粒加える。
シャーレと通常の製麹の包み込みからのスタートです。

画像3

順調に発芽し栗香も出て48時間で胞子も出て来ました。
このまま種麹として使えそうだと判断し、通常の製麹パターンのものは4日後に出麹としました。
シャーレのものはそのまま経過観察を続けています。

画像4

画像5

画像6

池間島天然麹で製麹

さて出来上がった種麹を白米にふり、米麹を作るとどうなるのか2合のお米でとりあえずやってみることにしました。
独特の香りがしますが、酷く暴れることもなく全く加温せずに46時間ほどで出麹。

画像7

画像8

こうなったら甘酒

こうなったら甘酒にしてそのお味をみたいですよね。
そうです。
自己責任なヤツです。
日本では出たと聞いたことないけどもしオリゼー  と酷似したフラバスだったらそのカビ毒で臓器がやられ癌になる恐れがあるから検査機関でカビ毒検査をしてもらわないと人様のお口には入れてはいけないのです。
池間島おばあが元気にこの作りでお味噌を作って命を繋いで来ていても先人が稲麹から米麹を作り味噌やどぶろくを作っていたとしてもです。

画像9


おばあの麹の酵素パワーは相当なものだと感じました。
4時間ほどでトロトロに溶け6時間では飴のようなこの艶感。

混ぜているうちに間違ってうっかり手に跳ねた甘酒を舐めてしまいました!

うわ〜ん 激しく甘ーーーい!
たまらずひと匙ペロリん。
くぅ〜 蜜の味です。

りかさんはこの麹を検査に出すことを決意されました。
応援者も得られたようです。

この麹でお味噌を作ったらさぞかし美味しいお味噌になることでしょう。

私もこの土地で得た天然麹を培養して、検査機関に見ていただき、この土地で育てたお米と大豆で堂々とお味噌や甘酒を作りたい。
そう強く感じた培養実験でした。
お写真を貸してくださったりかさん、作り方をまとめて下さった涼子さん。
ありがとうございました。

おまけ


更なる培養もしてみています。
また違う表情で培養速度も上がるような気がしており、非常に興味深いものがあります。

ビリジアングリーンになるのか?
乞うご期待下さい。

よろしければサポートいただけたら嬉しいです。頂いたサポートは次なる執筆の活動経費に大切に使わせていただきます。