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私が会社員を辞めるまで〜#1幼い頃からの憧れの会社〜


現在、私は神奈川県湘南の逗子で
AEAJ アロマ資格認定校 手作り石けんとアロマコスメ の教室
「Hanako Labo」を主宰しています。

学校を卒業後、資生堂の研究所に入社しました。
子供の頃からずっと憧れていた会社です。
小学校の卒業アルバムには
「資生堂の美人秘書になる」と書きました。

愛社精神もとても強く、骨を埋めるつもりで働きました。

そんな私が20年以上の会社員生活を辞めて
暮らしていくように仕事をし、
求められていることをお伝えしていく働き方へシフトしたストーリーを
3回に分けてお伝えしていこうと思います。


資生堂の持つブランドイメージは
常にトップを行き、業界の先駆者的な存在でした。
新製品を出すたびに他の会社がそれを真似て追随していく、
常に化粧品業界をリードしている。

そしてその品質に安心感がありました。


【実は香りが好きではなかった】

新入社員として配属されたのは香料研究室。

エレベータで5階まで登り、そのフロアーに着くと
バラの香りが立ち込めていました。

私は調香師のアシスタントとして
主に製品化研究を5年間。

すぐそばでアロマテラピーの研究をしているチームもありました。
国内・海外の植物の香りを抽出、実験も行っていました。

今考えるととても恵まれた環境だったと思います。

その頃、私は植物の香りが持つ本当の力や
人にとって嗅覚がどのような作用を起こすのかなんてことも知らずに
ただ、いかに安全に良いものを研究開発していくかだけを考えて仕事をしていました。

企業にとって大事なことは
安全・安心なものを安定して供給していくこと。
そのためには天然香料だけを使用することは不可能で
コストの面もあり合成香料も多く使用せざるを得ませんでした。

そのせいなのか、
香りを嗅いでいると頭が痛くなったり
気分が悪くなることも多く、名香と言われた香水でさえも
身につけたいと思うことはなかったのです。

その後、香料研究室を離れ
化粧品の有効成分の分析という、全く違う部署で10年以上仕事をしました。


【エビデンスを大事にする】

私にとって
分析機器が出す「定性・定量」の正確で嘘のない事実は
非常にわかりやすく、受け入れやすいものでした。
理化学の知識などなかったのですが
香料の仕事よりやりがいを感じるようになっていました。


でも、今思うとその頃の私にとって大事だったのは
「資生堂」というブランドでした。


【資生堂への想い】

季節ごとに出される新製品に、いつもワクワクしていました。

特に口紅。

私が若かった頃はまさにバブル世代
ピンクや赤、その時の流行りの色を作るのもまた自分の勤める会社でした。

そのプライドは常に流行のものをつけていたいという気持ちにもなりました。

外出先の化粧室で周りの視線を気にしながら
ポーチから新製品を出す優越感。


【実は無理をしていました】


本当は口紅をつけると唇がとても荒れてしまうのです。
リップクリームも荒れてしまうので、本当は口紅なんてつけられないはずなのに。

流行りの口紅をつけたくて
塗っては荒れる、の繰り返し。

薬用のリップクリームでも良くならず
とうとう皮膚科に行くことに。


そこで衝撃的なことを言われました。
「リップクリーム、使ってますね?」
え?当たり前ですよね。
唇をケアしたいから。

「もう2度と使ってはいけません」と塗り薬を出されました。

以来私はリップクリームを塗らず、皮膚科の薬を塗ることになりました。
それでも、やっぱり時々口紅をつけていました。

若かったし、綺麗に見せたかった。

何より、自社製品をとても信頼していたし
使うことが私のプライドでもあったからです。

よく母に注意されていました。


「資生堂の建物から出てくる人は
みんな綺麗で世の女性の憧れなんだから!
だらしない身なりで出社するんじゃないの!」

そう言われると背筋が伸びる思いで
出社したものです。


ところがそんな私の熱い想いを根底から覆すような出来事が起こりました。


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