法治主義と法の支配

法治主義と法の支配

 国家が公権力を行使するためには根拠が必要であり、その根拠が「法」である。国家は法がないと何もできないのである。そのせいで融通が利かない面もあるが、だからこそ人権が守られている面もある(ex.コロナ禍で日本においてロックダウンができないのは法がないからであるが、だからこそ経済的自由や身体の自由などの人権が保障されているともいえる)。

 法治主義とは「法があればなんでもできる」という支配である。法の内容は全く関係ないのである。立法機関のさじ加減で何でもできるようになってしまうのでなかなか怖い統治システムである。国民が政治に関心がない場合、変な国会議員を平気で選んでしまうととてつもなく大変なことになるのである。第二次世界大戦下のドイツは法治主義であった。憲法によって正当に選挙で選ばれた人たちが人権を侵害する法を作って行使しても何も問題がないのである。

 これに対して法の支配は「法の下に権力が置かれること、つまり法に従って権力を行使すること」である。この「法の下」の法とは「憲法」のことであり、憲法の内容に矛盾する法は許さないという統治システムである。仮に国民が政治に関心がなく、変な国会議員がたくさん選出されても、憲法に規定されている人権侵害の法は意味がないということになるのである。



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