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「あやかし課」に感謝を伝えたい。

 私が京都府警あやかし課の事件簿に出会ったのは、中学二年生の秋のことでした。

 コロナ禍による休校に、部活や行事の禁止など、学校生活への制約が続く日々。仕方ないことだと分かりつつも、どうしてもやり切れない気持ちは拭えず、私は学校生活に対して無気力になっていました。

 そんな時、なぜか惹かれて手に取った本が「あやかし課」です。

 初めて序章を読んだ時、「あぁ、私この本絶対好きだ!」と確信しました。「君は、魔除けの子になったんやで」という台詞にすごくわくわくして、続きが気になって仕方なくなってしまいました。

 それから読み終えるまで、本当に一瞬でした。それでいて、読み終わってからも余韻はずっと残っていて……。

 そして、その余韻は、私の心をすごく明るくしてくれたのです。

 

 「京都府警あやかし課の事件簿」は、京都府警の中の「人外特別警戒隊」、通称「あやかし課」と言う組織のお話です。あやかしが絡むあらゆる事件を人知らず解決するのがこの組織の仕事で、主人公はそんなあやかし課の新人隊員「古賀大」。実は彼女には人には言えないとある力があります。

 それは、簪を抜くと男の子になると言う力。

 彼女はその力を活かして、個性豊かなメンバーと共に、古都の平和の為に奔走します。

 

 このあらすじの、どこに惹かれて手に取るかは、人によると思います。もしかしたら、イラストかもしれません(表紙のイラストもめっちゃいいんです!)

 私の場合は、「あやかし」と「事件」のキーワードに惹かれて手に取りました。非日常なワードに、この無気力感をこの本でどうにか出来ないかなぁと思ったからでした。

 結果はもちろん、期待通り……いや、期待以上でした!!

 あやかし課は、私に見たことの無い世界を見せてくれました。それはもちろん、あやかしや神仏の世界でもあるし、「京都」という街でもありました。

 私は、京都に行ったことはありません。しかし、この小説を読んでいる時、私の頭の中には、作者の天花寺さやか先生の文章で、京都の風景が鮮やかに思い描けていました。(大げさじゃなくて、本当に映画みたいにです! 未読の方はぜひ読んでください!)

 そして、一巻を読んで天花寺先生の描く京都に魅せられた私は、二巻から、同時に京都の写真集を数冊借りておくことにしました。

 物語に出てきた場所がどんな所かを、すぐに見てみたかったからです。

 でも、その写真集の京都も、小説の中の京都も、寸分違わず綺麗な所でした。この美しさを文章で伝えることの出来る天花寺先生の凄さに感服すると同時に、私の京都への憧れは強まっていきました。

 いつかここに行ってみたい! このコロナ渦が開けたら、きっと行こう! 

 残念ながら、それは今もまだ叶っていませんが、知らなかった場所を見せてくれて、私の世界を開いてくれた「あやかし課」には、本当に感謝しています。

 コロナ禍の私を救ってくれた小説、それがあやかし課です。

 天花寺先生、大ちゃん、塔太郎さん、それにあやかし課の皆さん、本当にありがとうございました! これからも応援し続けますし、応援され続けると思います。

 

 





 

 

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