原因不明の虫刺されの多くは「ダニ」
◆原因はダニ
医者「これは虫刺されです。おそらくダニでしょう」
患者「やっぱり、ダニですか」
ダニと言うと患者さんは妙に納得するのですが、
実際、誰も見たことがないのではないでしょうか。
被害者が多いにも関わらず、目撃情報が少ないのはなぜでしょうか。
夜に活動することも理由の一つですが、
極めて小さいこともその理由でしょう。
イエダニは体長約0.7mmです。
シャーペンの芯の太さが0.5mmであることと比較すれば、
いかに小さいかが分かるでしょう。
ダニは普段、どこにいるのでしょうか。
◆イエダニは天井裏にいる
イエダニは、天井裏のネズミや、軒先の鳥に寄生しています。
ダニは夜行性です。
夜になると「一杯引っかけてこよう」と、天井裏から降りてきます。
「人をたずねて三千里」
長い距離の旅を終え、人間にたどり着いてもすぐに刺そうとしません。
蚊と違って服から露出した部分は刺しません。
服の中にもぐって、わき、お腹、太ももなどを刺して吸血します。
◆イエダニ対策
天井裏にネズミがいる場合はネズミの駆除を、軒先に鳥が巣を作っている場合は、巣の除去が優先されます。
そのうえで燻煙型殺虫剤が有効です。
煙タイプよりも水蒸気タイプの方が安全でしょう。
殺虫剤の使用後は、十分に換気をしましょう。
◆ツメダニは畳やじゅうたんにいる
アトピー性皮膚炎で問題になる「ヒョウヒダニ」は、
布団、畳、じゅうたんにいます。
「ヒョウヒダニ」は人を刺しません。
その死骸がハウスダストとなって、アトピー性皮膚炎などのアレルギーを起こすのです。
ヒョウヒダニの体液を吸って生きているダニが「ツメダニ」であり、
人を刺すことがあります。
夏は暖かく、湿度も高くなるのでヒョウヒダニが繁殖します。
餌が増えるため「ツメダニ」も増殖し、偶発的に人間を刺します。
◆ツメダニ対策
ツメダニの被害を減らすには、ヒョウヒダニを減らすことが重要です。
最も手っ取り早い対策は、
じゅうたんやカーペットを引かない、
クッションやぬいぐるみを置かない、
畳に上に直接横にならない、です。
ぬいぐるみが大好きという人には、厳しい選択でしょう。
一つのぬいぐるみには、何百何千ものヒョウヒダニがいます。
どうしてもぬいぐるみをアキラメ切れない人は、
なるべくぬいぐるみを触らないようにしましょう。
参考文献
1)夏秋優:「虫刺症」,小児科診療 82(11): 1461-1465, 2019.
2)谷口裕子:「虫刺され」,小児科臨床 71(増刊号): 1879-1885, 2018.