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外野の声は、聞かない

育休中に同僚たちとランチで会ったのだが、なんだかスッキリしない気持ちで午後を過ごした。原因はだいたいわかっていて、子供以外に話せることが極端に少ないからだ。そして言葉を交わした同僚4、5人がみなこどものいない男性。会っている最中から嫌な予感がしたが、帰り道にやっぱり気分が落ちた。

残念ながら私の毎日の子育て生活にドラマはない。19ヶ月の一生と8ヶ月の二葉、こどもふたりが、19時半におやすみーと言って電気を消した後に翌朝8時まで寝てくれて、ごはんも食べてミルクもよく飲んで、保育園に行けば「今日も一生は楽しく過ごしました」「二葉は今日もたくさんミルク飲みました」と帰ってくるのが、どれだけスバラシイのか、共感してもらえるのは、最近子育てした親御さんだけだろう。特に困り事もなく、ただこどもがかわいいだけなので、若い男性諸君との会話としては、広がりにくい。話題としては5分持てば十分だ。

しかも毎日、自己ベストを更新しているのは一生と二葉である。人の成長を自分の手柄として語るわけにもいかないので、黒子の私には何も「自らの成長」を証明できるものはない。この1年、家にいるだけで昇進も転職もしていない。毎日何しているの?という質問で特筆すべきことといえば、運動していることと生け花を始めたことぐらいだが、フルマラソンならまだしも、近所の周りを走ってるくらいでは、同僚たちの興味はわかない。自分がものすごいつまらない人間に思えた。

一瞬、今からでもキャリアについてもう少し何かするべきかと頭をよぎったが、いやいやブレちゃいけないと思い直す。これが世の中の育休中のお母さん・お父さんがハマるトラップなのか。

今はよそ見をせずに、全力でこどもを愛でるのが至上命題だし、その次に大事なのは、5年後、10年後、30年後に充実している自分だ、と言いきかせる。今日明日の同僚の評価ではない。外野の声は、聞かない。

夏に二人のこどもが我が家にやってきて、あっという間に秋が過ぎ、冬が終わろうとしている。一生は、自分で靴下が(片方)履けるようになり、妙齢の女性たちに非常にウケが良いことを学んで、惜しみなく投げキッスをする。二葉は、ほふく前進するようになり、二回食でもお腹が空くようで、三回食も目前。

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