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また体験談をお話ししてきた

職場に復帰したら、あっっという間に時間が経っていく。

育休終了間際の4月末に、これまで養子縁組についてたくさん勉強させてもらったEnfance & Familles d'Adoption de Paris というパリの養子縁組家庭・養子縁組希望者からなるアソシエーションのイベントで、私たちの体験をお話しする機会があった。養子縁組を考え始めた2020年から、ラオスで息子・一生との縁があるまで2年半ほどサポートを受けた分、「何かお返ししたい」という気持ちを叶えさせてもらったように思う。

タイミングとしても、一生が我が家に来てから、愛着形成に必要とされる9ヶ月ほどが経った頃だったので、ひとつの節目になったかな。日本でも同じように体系化されているのかわからないが、私たちが非常に参考にさせてもらっていた本では、養子縁組の最初の3年間を、大まかに5段階の「3」があるとされ、ショック期3日間、受け入れ期3週間、愛着形成期3シーズン(9ヶ月)、離脱期3週間、安定に3年という目安が提示されていた。もちろん養子に至るまでのストーリーも年齢も違うので、一つのガイドラインでしかない。

一歩引いて振り返ってみると、一生の場合は、ラオスでの一ヶ月の共同生活をほのかに覚えていたのか、「ショック期」らしきものもなく、最初からよく食べ、よく寝て、よく笑う子だった。様子を見ながら決めようと話していた保育園の開始時期も、想定よりも早く、2ヶ月ほどでスタート。1才〜1才半頃でフランスに来るケースが多いラオスからの養子は、順応が早いと聞いていたが、その通りという印象で非常に幸運だった。

なので、私たちを「お世話をする人」としては、スムーズに受け入れていても、愛着があるわけではないので、保育園についても、すぐに遊び始めて、私たちの去り際もサッパリしたものだった。睡眠は比較的安定していたものの、夜驚症のように夜中目覚めて大泣きして寝かしつけで寝不足ということも数回あったけれど、実子でももっとタフなケースをよく聞くので、必要以上に心配はしていなかった。

愛着形成ができてきたのかな?と感じたのは、フランスに来てから4ヶ月ほど経って(1才4ヶ月)、保育園で朝の去り際にぐずるようになったことだった。ここら辺の様子の確認をして、また一段階レベルをあげ、シッターさんに夜寝ついてから留守番をお願いして、親は外出したりできるようになった。離脱期は、親子が離れる時間を持ち、外の世界を発見する時期なのだけれど、一生は、ラオスで他のこどものいる環境で育っており、保育園が肌に合っていそうだったので、フライングしていた。

まだ注視していることといえば、バイリンガル家庭ではあるあるの「言葉が出るのが遅い」ということに加えて、一生はフランス語・日本語に触れてから1年経たないので、話すようになるのはいつかな〜ということくらい。まだしばらく先の楽しみと思って待っている(下手したら二葉ほうが先なのでは・・・)。

今回の体験談で総括できたこともあって、気づいたら養子縁組は安定期に入っているなぁと再認識できた。引き続き真実告知もあるし、思春期の頃も人一倍ケアが必要ということも頭に入れつつ、私たちは穏やかな生活を送っている。最近に私の心配事はこども以外のことに移りつつある。


ちなみに、私たちの体験談に先立って、アソシエーションの代表から2023年のフランスにおける国際養子縁組の統計が紹介された。2005年の4100件をピークに減少傾向にある国際養子縁組は、コロナ前の2019年で420件、2020-2022年は約240件前後で推移しており、増加に転じるかと思いきや、2023年は176件とさらに落ち込んだ。

前回、すでに養子として成人した方からの体験談で、思春期の頃に、同じように養子として育った大人・同年代の友人の存在が助けになったいう話を聞いたので、ラオスからの養子縁組家庭やもう少し広く海外養子縁組家庭とはゆるくつながっておきたいなぁと思っているのだが、2023年の海外養子縁組の受け入れはパリでも8件のみ。一時期は年間3000-4000件あった海外養子縁組は、大人には身近な存在だけれども、一生や二葉の世代では、珍しい存在になってしまった感がある。

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