時、零れて。(2022)絵とエッセイ
東京都美術館で開催される、年に一度の日本きりえ美術展に搬入するため、上野公園を歩いていく。11月半ばに差し掛かる頃、ちょうどイチョウ並木は金色に色づき始める。葉っぱの金色の扇となり、細い枝の先で逆さになり、風に揺られている。小枝は限界まで扇を広げた葉っぱたちの重みで、しなるように下へ垂れている。
秋は誰もが切なさを感じる季節なのかもしれない。
春・夏の盛りを過ぎ、冬へと向かうのは、人生の中、何度と繰り返すことだとしても、どうしたって、散りゆく草花を見るのはさみしい。
今年