Wished list #7 円山ステッチ 佐野 明子
花と暮らす方たちに、大切にしているモノのエピソードを綴っていただく「Wished list」
第7回のライターは、岡山でギャラリー 円山ステッチ を営む、 佐野 明子さんです。
桜に重ねる安らぎのひと時
大切なもの。
最初に浮かぶのは、「安らぎのひと時」。
一日の中にそう思えることは、幸せなことだと思います。
そして、「やっと春になったね」ってよろこびあえるひと時。
早く春が来るといいですね。いろいろと安らぎを感じられる世の中になってほしいと、そう思います。
今年は、いつもの年より春が待ち遠しくて、冬の桜を見上げています。
春を歓び合えるひと時をたのしみに見上げています。
寒い冬もいつかは終わり春が来るように、世の中に安らぎがもどりますようにと、いろんな思いを桜に重ねているわたしです。
祈りと感謝のお重箱
それから、大切なもの。それは、32年ぶりに新しくお迎えした「お重箱」です。
写真は、2021年元旦のわが家の食卓。
今年も瀬戸内の海岸で初日の出を拝むことが出来ました。
初日の出は、光輝いてとても美しく、心が清められました。
帰宅してから、年末に作っていたお節料理をお重箱に詰めていきます。
いつも元旦の朝に詰めていくことを習慣としています。
そのひと時は、清々しい気分がより高まる時間となり、無事に準備できたことへの感謝の気持ちで溢れます。
お買物など含め、今年も家族のおかげでわが家の味のお節料理の準備ができました。
出汁昆布や黒豆、数の子など早めでもよいものは、ギリギリにならないように、手分けして準備。
12月ともなれば、家族の話題の中心が「お節料理」と言うと大げさですが。
里芋を亀甲形にするのはわたしで、蒲鉾は娘が鶴に。
元々目的があればお料理することにはりきるタイプなのですが、
新しいお重箱は、いつかはお迎えしたいと思っていた輪島の塗師である赤木明登さんの作品。
外側の塗りは、マットな質感でモダン。そして内側の塗りはしっとりとうるわしいのです。
素敵過ぎて、ドキドキしながらはりきりました。ものとしてのお重箱。そして、それだけでない大切な「祈り」や「感謝」が詰まった大切なものなのです。
白という生きる覚悟。そして家族
もうひとつ、大切にしていることがあります。
4年半前から決めたことで、「白」を着ることを大切に守っています。
「なぜ白?」と言われますが、「白」は新しい気持ちにさせてくれる色だとわたしは思っているので、汚れやすいですが、あえて着ています。
汚さないように気をつけ、もし、シミがついたら石鹸ですぐに洗えば大丈夫だし、そう決めると何を選ぶか迷わなくてすむので、案外気分が楽なのです。
昨年の夏は、おうち時間が増えたおかげで、岡山の赤磐産の刺繍布(音の絵)でレースでワンピースを手縫いしました。
それから、エプロンも白と決めていて、エプロンに限らずシミが付かないように丁寧な気持ちでいる、その気持ちを自分に言い聞かせているのかもしれません。
大げさに言うと"生きる覚悟"みたいな。コラムに書くのは恥ずかしいですが、だから、いつも白なのです。
白色がわたしのテーマカラーのようなもので、とても大切にしています。
だけど、一番大切なのは、毎日一緒にいる家族です。
人はひとりでは生きていけないので、支えてくれる家族は大切な存在。
仕事のせいにしてはいけないけれど、家族で過ごすおうちの中を整える時間をつくることを後回しにしないように、丁寧に暮らしを紡いでいけたらと思います。
少しずつ、今出来ることから、気持ちをこめて。
次回はこの方に。
わたしにとって大切なお友達で、お仕事でもとてもお世話になっている「音の絵」代表でデザイナーの間野菜々江さんを紹介します。
岡山県赤磐産のすばらしいレースの刺繍布を企画なさっています。
writer
佐野明子(Akiko Sano) @maruyama_stitch
2010年より岡山市内の操山の山すそに佇む円山ステッチにでギャラリーを主宰。
コンセプトを「季節の声に耳を澄ませて丁寧な暮らしを」としている。
また、暮らしのデザイナーとして、作家さんとコラボして、ガラス、布、アクセサリーのデザインやジャムやお茶のパッケージデザインなども。
その他、2011年よりイベント「円山マルシェ」では、ディレクションを行っている。
そして、時間と体力があれば、庭仕事が今、一番したいこと。