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Wished list #3 chiel 森本綾子

花と暮らす方たちに、大切にしているモノのエピソードを綴っていただく「Wished list」第3回のライターは、アクセサリー材料専門店 chiel(シエル)の店主、森本綾子さんです。

好きなものはと聞かれたらたくさんあるけれど「大切なものは?」と聞かれたら、迷わず「仕事道具」と答えます。
アクセサリー作りにはたくさんの素材を使います。
金属、布、革、紙…それぞれに適した道具が必要。
ものづくりをする人間にとって「道具」は自分の第二の手。
使い易いように仕立て直したり一から作ることも珍しくありません。
今日はほんの一部ですが自ら作った道具の紹介をしたいと思います。

仕立て道具

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出来上がったパーツをアクセサリーに組み立てる時に使う道具です。
リングやパーツを掴む奴床、穴を大きくするためのピンバイス、ビーズを繋げるためのワイヤースプール。
奴床は私の手のサイズにわざわざ作っていただきました。
もう一から奴床を作ってくれる職人さんなど存在しません。この方、今では私の道具作りのお師匠様です。
道具が繋げてくれた素敵な出会いです。
ワイヤースプールやピンバイスはあるべき機能に加えて見て使って並べて楽しいように。

裁縫道具

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ヨーロッパでは「メルスリー」と呼ばれるアンティークの美しい小道具たちは女性の憧れです。
でも、自分にぴったりの大きさや形のものに出会えるのは本当に難しい。
では、作ってしまいましょ。何十年も使ったかのような風合いにそしてちゃんと使えるように試行錯誤します。
残り少なくなった糸を綺麗に仕舞っておきたいなぁ。
縫い物の最中にボビンが机から転げ落ちゃうの嫌いだ。
鋏も布も可愛いバスケットになおしたいなぁ。
こんな気持ちから道具作りは始まります。

彫金道具

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金属を切ったり曲げたり溶接するのに使います。
糸鋸のフレームに小さな真鍮切り抜き文字。
ラテン語で「鋸の労苦と時間」という文字を溶接しています。
ひとつひとつの工程を丁寧に…
その気持ちを忘れないように道具には文字を添えることが多いです。

道具を美しく仕舞うための道具

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ものづくりって出来上がったモノが主役だと思いますか?
もちろんそうなのですが…作っている時間、その空間を楽しむことでもっと楽しくなるんです。
手に馴染んだお気に入りの道具で無心に黙々と手を動かす。
気付けば何時間もすぎていた。あぁ、今日はおしまいだね。
そして最後に「今日もありがとね」と道具たちの休む場所を用意してあげる。
大切に扱えばモノはちゃんと応えてくれる。そして自分の意識さえも変わります。
愛犬に「いい子ね。べっぴんさん。」と頭を撫でれば「ふふん」とした美人顔になるように、錆びぬように研ぎ油をひき、籐で編んだベッドに寝かせ、明日も私の指になってね、と仕舞ってやればちゃんと応えます。

「道具」は私の中の「作りたい」を形にしてくれ
何をどう意識すれば「良いもの」が作れるのか教えてくれる。
大切な大切な相棒なのです。

次回はこの方に。

次にバトンをお渡しするのは、革のお花作家の池上祐子さんです。
彼女の作る繊細な革のお花は本物と見間違うほど。
切り出し、染色、全ての工程を手作業でされています。
作品以上に魅力的でチャーミングは池上さん。
どんな大切なモノを教えてくれるのかしら?楽しみです。

はい、バトンタッチ。よろしくお願いいたします。

writer
森本綾子@0522chiel
アクセサリーパーツ製作者
シエル アクセサリー材料専門店 店主

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約10 年間 鋳造の世界に弟子入りしていました。その後独立。
自然溢れる奈良の山腹で
「人と空間を彩る」「ものづくりの楽しさを伝える」とモットーに
アクセサリー材料専門店 chiel ( シエル)を営んでおります。
小さなものが作り出す無限の世界をどうぞお楽しみください。

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