捨てられたけど…アライグマ、タスカル。
ご近所の農家さんから、
「つよい風で落ちた、リンゴや木の実を、
拾いに来てほしい」
と、たのまれたテルボー。
その帰りの夕暮れどき、久しぶりに、
はぐれザルのモン次郎と会いました。
はじめて会う、アライグマといっしょです。
「はじめまして。タークンと呼んでください。
会社員のクミさんと、山に来たんですけど、
はぐれちゃって。クミさんを探しているところに、モン次郎さんと知り合いました」
きいてみると、タークンは、
若い女の人に、ペットとして飼われていましたが、ある日、カゴに小さな毛布と少しの食べものといっしょに入れられて、
山に置き去りにされたようでした。
このあいだのつよい風で、
カゴも毛布も飛ばされて、
食べものもなくなってしまったそうです。
「あっしは、クミさんって人はもう戻ってこない。探してもムダだって言ったんですがね」
と、顔をくもらせるモン次郎。
「ウーン…。でも、タークンは信じテルんだ
ネ。とにかく、今はうちへ遊びに来ない?」
テルボーが、家にモン次郎とタークンを連れて帰ると、父さんと母さんは、
「アライグマに、はじめて会った」
と、おおいに感激しました。
アライグマは、日本にはもともといなくて、
外国から、ペットとして連れてこられた
と、いうことです。
タークンは「洗いものは得意なんです」と、
アッというまに、土やどろで汚れたリンゴや
木の実を洗っていきます。
ペットだったので、おしゃべりも上手で、
(話題はクミさんのことばかりだけど。
元カレにフラれたけど、最近仲直りしたとか…)
テルボーもホレボレ!
「ぜひ“お天気屋”に入社してほしーい」
テルコ母さんも、
「タスカルワアー。アップルパイと焼きリンゴ
作るわね」とゴキゲンのようすです。
「いえ、このまんまでいいデース」
と、モン次郎とタークンは、
洗ったリンゴをガブッと丸かじり!
テル吉父さんは「うちの近くに住めば…」
と、すすめますが、タークンは、
「クミさんがむかえに来るので、
車道の近くにいます」と答えました。
ヤセイ生活のベテラン、モン次郎も、
「車とクミさんじゃない人間たちは、
アブナイっす」
母さんも「これから冬なのに、道路のそばは、
寒いわよ」と心配しています。
だけど、タークンの想いを、
変えることはできないようで…。
「クミさんに、会えるといいけど…。
でも、会えなくっても、モン次郎君といっしょに、うちに遊びに来て‼︎ きっとだよ」
テルボーは、思わず、言っていました。
ペットを捨てるのは、すごく良くないこと
だけど、ウーン。そのおかげで、
タークンと知り合えたし…。
なんだか、フクザツだけど、
新しい友だちができて、ホンワカうれしい
気持ちのテルボーでした。
#絵本
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