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黒い猫その後

時折来る程度だった黒い猫、クロちゃんは雨の日以外は毎晩のように来るようになった。時間はまちまちだが、多分少しの時間はわたしが外に出てくるのを待っている。倉庫の戸を開けると強めの声で「ください、何か食べるものをくださぁい。何かぁ。」と訴えてくる。ドックフードを持っていくと「シャー!!!」と威嚇して凄んだかと思うと「にゃぁん。」と甘えた声が出る。わたしが一歩進むたびに「シャー!!!にゃぁん。」の繰り返しで忙しい。クロちゃんの葛藤が窺われる。

以前はわたしが見ているとフードを食べようとしなかったので席を外していたが、昨日は少し離れた場所で見ていてもガツガツと食べていた。ガツガツ食べるが、食べながらも再々後ろを振り返ったり、何かの気配を窺ったりして注意を怠らない。緊張が緩むのは睡魔に襲われて眠る時くらいなのだろうか。

食べ終わると何か訴えながらこちらに来ようとしたが、立ち上がったりしてわたしが動くとその度にちょっと逃げて様子を窺う。わたしがしゃがんでじっとしていたら自分から少しずつ寄ってきた。そして初めてわたしの腰あたりに何回か身体を擦り付けた。わたしも頭を少し、背中を少し撫でてみた。

手探りで、少しずつ、安心を確かめながら近づいていく。



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