悪口って面白いけど

M-1グランプリ2022のウエストランドの漫才が、ウケている理由は分かるのに、自分にはぴったり来なかったのはなんでかなと考えていた。
一応の答えが出たので、同じことでモヤモヤしているごく少数の人に届けと願って書いてみる。

ウエストランド(の井口)が悪口の対象としたのは、YouTuber、お笑い評論家、アイドル、田舎者、大阪の人、などなど、ほとんどが属性についての悪口だった。
(理解者が少ないことは僕自身の人生経験でよくよく思い知ってはいるのだが)僕の思いを語るならば、属性で人を論じることは嫌いだし、間違っているとまで思う。

何人はこういう人種だ、〇〇オタクはこうだ、何出身の人はこう、右翼左翼は、この職業は、この性別は、この宗教は、この病気を持つ人はこうである…。
こういった、属性で人を分類する考え方は端的に間違っているばかりか、その時その時の個人個人に現れる特異な側面を見過ごしてしまうもったいない考え方だ。

名詞というのは一般化という手順を踏んで成立するから(=捨象)、属性でものを語ると過度な一般化という誤謬に陥りやすい。
僕自身もよくやってしまう間違いなので、反省を踏まえて一般化に敏感に生きていたから、僕は一歩引いて漫才を見てしまった。

事務所タイタンの先輩でもある爆笑問題の太田は同じく毒舌家だが対照的に、個人に対する悪口しか言わない。いつまでも船場吉兆の女将や村上春樹やら三谷幸喜やらをいじり続けている。
太田と井口、どっちが良いのかと言われると困るけど…。

属性に向かって石を投げるのは、個人に向かって石を投げるのより罪悪感は少ないし、自分はそこに属していないという安心も得られる。
だから同じ属性を敵にする者どうしが寄り集まるとあっという間に暴走してしまう。
歴史の本とか、Twitterとかでよく見る事態だ。
だから属性で人を判断するときは、とても注意深くしなければ、いけないんだよなぁ。

といったところが僕のモヤモヤの正体でした。
ここまで読んでくれる人は多分分かってくれると思うけど、本稿はウエストランドの漫才を面白くないと言ってるわけではないです。(サイコー!とも言えないけど…笑)
優勝おめでとう!太田上田やチャンスの時間には出続けてくれよな!

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