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『不気味なものの肌に触れる』視聴メモ


※見た人と共有したいメモのようなものです。


“追いかけっこの後倒れた時に枝が刺さったことによって出来たトーゴの頬の傷“

“アズサがチヒロの口を覆いながら自ら噛んだことによってできた手の甲の傷“
の二つの、傷という結果が含む意味は、そう遠くないものだと思う。

“アズサの手の甲の傷“と、“チヒロの手の甲の傷“はできた過程や形は似ているけれど全く意味合いが違って、チヒロの傷はただの自虐のように感じた。


「相手の触れられたくない場所がわかった時怖くなる」とチヒロ。
不意にチヒロに背骨を触れられそうになって体をよじり逃げたけれど、彼女には沢山触れたいナオヤ。

「怖いけれど触れてみたらなんて事なかった」と言ったチヒロが、自分自身の一番触れられたく無いところを自ら触れた(言及した)時に、目鼻口をサトミにタオルで覆われた。
その後、アズサの鼻口を塞いで自らの手の甲を噛む。(これがかなり自虐的)

ガラス越しのナオヤとアズサ。
手、越しのアズサとチヒロ。


この作品は自意識の範囲みたいなテーマを、全面的に表にだしすぎないようにはしているけれど、でもどうしても肌について語る時にそれは多分に含まれてしまって、
川の浅い場所と肌、
ポリプテレスと自意識
はメタファーとして繋がり、それぞれ関連するものと対となっている。
「いつか溢れる」と言ったトーゴに対して、「大洪水じゃん、そんなの起こらないよ」と言ったサトミは常に胸元を大きく開いていて、身体による色気も多分に要素として持っている。


アズサが距離を置きたいと言ってきた理由がなぜなのか全く分からないナオヤ。
アズサの肌に触れたいと思うナオヤはそれでもアズサの事が本当に好きで、アズサはその、肌に代表される自己の表層性を嫌って壊すように自らの手の甲を齧り、血を流す。

表層性を嫌うように本質を求めてもがいていたアズサは、その表層を破壊するという行為により救いを得ようとしたのかもしれないが、チヒロの手によって表層である鼻口を塞がれ、存在が揺らいでしまったのかもしれない。


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