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クリステン・スチュワートがダイアナ元妃を演じた映画『スペンサー ダイアナの決意』

ドキュメンタリー映画『プリンセス・ダイアナ』(9月30日公開)に続いて、クリステン・スチュワートがダイアナ元妃を演じた映画『スペンサー ダイアナの決意』が、10月14日より公開されます。

ダイアナ元妃の心の中を描いたフィクション

『プリンセス・ダイアナ』は、1981年から1997年までの約16年間の映像が時系列に編纂したドキュメンタリーですが、本作は、1991年のクリスマス休暇の3日間のみに焦点を当てています。夫妻の別居状態は1987年には常態化しており、1992年12月9日、夫妻が別居生活に入ることが正式に発表されました。1991年のクリスマス休暇は、ダイアナ妃が王室を去ることを決意する重要なターニングポイントだったのかもしれません。

本作では、ダイアナ元妃の緊張や不満が限界に達する様子が描かれます。それは、さながらホラーのようでもあり、ご家族や周囲の人々が気の毒に思えるようなところもありました。ただ、本作で描写される葛藤の多くはフィクションなので、視聴者の解釈に委ねるような面もあります。事前知識として、イングランド王ヘンリー8世の2番目の王妃アン・ブーリンのことを学んでおくと、本作の理解への手助けとなるでしょう。

衣装デザインの「色」

本作では、多くの衣装をシャネルが制作しており、クリステン・スチュワートが衣装の魅力を引き出しているように感じられました。

2度のオスカー受賞歴のある衣装デザイナー、ジャクリーン・デュランは、ダイアナ元妃の衣装を再現するにあたり、「色」は非常に重要な要素だと述べています。

ファッションの変遷をとらえた写真をまとめたコラージュは虹のようにカラフルで、ほぼすべての色を服装に取り入れていました。王室の女性は、公の場で見られることが多いため、周囲よりも明るい色を着るのが慣例となっています。ただ、明るければよいというのでなく、周りを囲むものより一段明るい色を身にまとっていました。

こうした気づきは、プロダクションデザイナーのガイ・ヘンドリックスと共有され、セットデザインにもこのような意図が徹底されています。他のキャラクターの衣装も、セットと同じようにダイアナ元妃の背景として機能するように考慮されており、ダイアナ元妃が常に前面に見えるようになっています。

フェミニンで脆いダイアナ元妃を再現するために

ナオミ・ワッツが主演した映画『ダイアナ』と同じように、ヘアメイクデザイナーの吉原若菜が起用されました。ダイアナ元妃はヘアスタイルも人々が憧れるシンボルとなりましたが、ショートやセミロングなど変化があります。

本作では、ダイアナ元妃をフェミニンで脆い印象に作り上げるため、1986年にサウジアラビアを訪問した時の写真を参考に、ウィッグを制作したそうです。衣装・セットデザインに加えて、ヘアメイクの相乗効果によって、クリスティン・スチュワートの中のダイアナを引き出すことに成功しています。

葛藤するダイアナ元妃

サンドリンガム・ハウスに届けられた衣装には、いつ着用するのかを指示したメモが添付されています。TOPに応じて、着替えてくださいということなのですが、ダイアナ元妃はその指示を拒んで、自分が着たい服を着用します。

そして、ファッションショーのように色とりどりの衣装をまとうシーンも描かれています。非常に美しいシーンですが、ダイアナ元妃が正気を保てなくなっている様子と王室の人々の常識との対比が際立って見えるようにも感じられました。

映画『スペンサー ダイアナの決意』
https://spencer-movie.com/
劇場公開日 2022年10月14日


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