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自分探しの物語『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』

映画『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』吹き替え版を、マスコミ試写にて拝見しました。

本作は、1902年、英国のビアトリクス・ポターが世に送り出した「ピーターラビット」のハリウッド実写映画版。バーナバスなど、原作にはないキャラクターが登場し、現代の私たちにも共感できるオリジナルストーリーとなっています。

自信喪失したピーターラビット

ピーターラビットは世界で最も有名なウサギ。しかし、ピーターは自分の父親をマグレガーおじさんに捕らえられパイにされてしまったというトラウマを抱えています。人間は嫌いだけど、絵本の作者であるビアのことは大好き。しかし、ビアはあろうことかマグレガー一族の神経質で動物嫌いのトーマスと恋に落ち、結婚してしまいます。

ちょうどその頃、ナイジェル・バジル=ジョーンズ率いる出版社が、ビアの本をシリーズ化する意向を示します。そのため、人間たちとウサギたちの一家は、出版社のあるグロスターへ向かいます。シリーズ化にあたって、ピーターのキャラクターは「イタズラ好きのワル」と方向づけられます。

このことをきっかけに、ピーターは自信喪失に陥ってしまうのです。

特殊詐欺グループの受け子になる!?

出版社を抜け出したピーターは、バーナバスに出会います。バーナバスは、街で路上生活をしている、世知に長けた年配のウサギ。絵本に描かれていた小さな青い上着をピーターが着ていることに気づいたバーナバスは、自分はピーターの父親の知り合いで、よく一緒にマグレガーの庭から盗みを働いたものだ、と言ってピーターに近づきます。哀川翔さんの吹き替えがはまり役で、思わず、ニュースで見聞きする特殊詐欺グループを連想しました。

世界で最も有名なピーターラビットが、特殊詐欺グループの受け子のような扱いを受けるわけですが……最後はハッピーエンドになるのでご安心ください。

原作者ポターへの深いリスペクト

本のシリーズ化の打ち合わせで、ナイジェルはビアに提案します。

ピーターにスニーカーを履かせたらどうだろう。上着はパーカーにした方がいいかも?と。

ビアは最初は戸惑っていましたが、ナイジェルからベストセラー作家の華やかな暮らしぶりを見せられるうちに、ビア自身も大成功をおさめたらどうなるだろうという考えに夢中になっていきます。ビアはナイジェルのアイデアを受け入れ、そのとおりの絵を描き始め、関連商品の開発や映画化にも乗り気になっていきます。

ピーターラビットの生みの親として知られるビアトリクス・ポター(1866年7月28日 - 1943年12月22日)は、作家として活動した期間はそれほど長くないものの、関連商品を提案したり、著作権の管理に関わったり……女性の社会進出が始まった時代において、ポターは女性企業家のパイオニアともいえる功績を残しています。

本作はハリウッド流のコメディでありながら、原作者ポターへの深いリスペクトが感じられて、視聴後はとてもハッピーな気分になれます。


『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』


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