そこは、まさしく楽園

原田マハさんの「楽園のカンヴァス」を久しぶりに読みたくなって、一日どころか数時間で一気読み。やっぱりおもしろい!

ガートルード・スタインの「アリス・B・トクラスの自伝」も読みたいな。


 ひょっとすると私は、アートばかりを一心にみつめ続けて、美と驚きに満ちたこの世界を、眺めてはいなかったんじゃないのだろうか?


 学生時代に、夢中になって読んだ。繰り返し読んでは、夢をみていた。この時代に生きていたならば。自分も、ルソーの友だちだったならば、と。
 ルソー。さびしいあなたの傍らに寄り添い、肩を叩いてやれまいか。


「気をつけて。——君の足もとに蛇がいる」


「葉っぱの一枚一枚が輝いているのとか、猛獣のおっかない感じとか、花の匂いとか、オレンジの甘酸っぱい味とか・・・こうして見てるだけで、体の全部で感じられるんだもの」


溢れ返る緑と咲き乱れる花々、頭上をかすめて飛び交う極彩色の鳥、蝶々の羽、ミツバチの羽音。どこからともなく聞こえてきては消え失せる獣たちの雄叫び。こんもりと繁る枝のすきまを縫ってこぼれ落ちる天上の光。そこは、まさしく楽園でした。




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