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25話(5巻収録話) 字ネーム

※一部過激な表現が含まれる場合がありますので苦手な方はご注意ください。

※ネームの前段階の構想のため、完成版の25話とは内容の異なる箇所があります。


line.25 オフライン

つかさは一度家に戻り、着替えなどをまとめる。せっせと着替えをスーツケースに詰めるつかさ。
安斎「すごい状態だな」窓にテープ
つかさ「さっき電話したら一ヵ月後に工事入るって 保険下りるみたいで安心したよ」
安斎「貴重品とか全部まとめろよ どの道この窓じゃ防犯上危ない」つかさ「うん」
つかさ、ペンギンのぬいぐるみを一度持ち上げる。「……」
安斎「持ってっていいぞ」つかさビクッ
つかさ「実家にあったのを上京するときに持ってきたんだけどね 寂しくないようにって」
安斎、投げられたペンギンを受け取る「お前地元どこだっけ?」つかさ「香川」
ペンギンを抱く安斎「親御さん心配してないか」つかさ「まぁ大丈夫じゃないかな」
安斎(親……か)
安斎、つかさの部屋を見渡す。
「しばらく—— この部屋ともお別れだな」
つかさ「落ち着いたらまたこたつでゆったりしたいね」安斎、少し笑う「……そうだな」

沢崎、301の部屋の前で待っている。
マンション下に記者かヤジウマの人影。(張り込み……)
(違うな 素人だ)(ヤジウマか記者か)
柳から無線『ヘンなのうろついてるな』
柳は車でPCを叩いてる。沢崎『警察関係者じゃない』柳「興味本位かもな ネット上に彼女の名前や大学名もちらほら上がってる」
掲示板をスクロール「池袋事件で相当見られたらしいからな 鬼に追われる所」
『吸血鬼っていえば「血を吸われると吸血鬼になる」っていう伝承があるが それを話題に騒いでる連中もいる』『昨日から急激に鬼の話題がネット上で増えてる』
沢崎「最寄りの交番に警邏するよう言っておこう 車で来て正解だった」柳『それと…』
柳「今朝あたりからどうも妙な単語が飛び交ってるんだ <鬼を殲滅する団体を立ち上げる>…CCC…」
沢崎「CCC…?」

加納「CCC… 鬼への敵対集団か 思ったより早く出てきた」
ジル「思ったよりって…何なのこれ」
加納「池袋事件から 鬼に敵対する組織が台頭する可能性はあった だが不自然なほどに早い」
ハンス、朝ごはん(昼?)食べながら「事件を受けて結束したにしては早すぎる まるで初めから こうなることを知ってたみたい」
帰ってくる安斎ら ジル「おかえり」沢崎「じゃおれはいったん本部に顔出すから」安斎「ありがとう」
加納「ただし こっちはこっちでやることがあるからな」「やるぞ 吸血欲トレーニング」
安斎とつかさ、気づく。
加納「空き部屋はあるかね 店主」

加納「ゲストルームAに安斎カップル わしと柳がゲストルームBに待機する」
「これだ」マスク・手錠・爪カバー「変異してもすぐに周りの人間を傷つけないよう 鬼の医療の現場で実際に使われている」
「これから2人には好きなようにイチャイチャしてもらい…」
2人(いちゃいちゃ…)
「実際に変異するところまで行ってもらう」
安斎「ちょっと待て 制御のトレーニングじゃないのか!?」
加納「まずは変異するタイミングを知らんといかんだろうが」「ヨハネスに聞いたが お前は昨日完全変異した状態から 彼女の声かけで正気を取り戻したそうだな」
安斎「……そう だった?」
つかさ「完全変異って 目とか歯ですか?」
加納「目・牙・爪・喉が変異し極度の興奮状態に入ることを言う ふつうその状態に達すると人の声を聞き分けるのは困難だ」
つかさ「……弾丸がスタンガンで止まってたからびっくりして正気に戻ったんだよね 多分」
安斎「あ ああ……」
加納「それが可能ならわしも見てみたいんでね」ノートPCを立てる。

2人、一瞬沈黙
安斎「『見る』……?」加納「見る」ライブカメラをオンにする
つかさ「えっライブで!?」ヒイイ
安斎「……いや 確かに113条では医師の立ち合い云々が言われてるけど それは『やる』時の話だ」「『やれ』っていうんじゃないだろうな…」
加納「−−任せる」
2人、カッ「!?」
加納「とにかくこっちはお前がどの程度で変異するか そのポイントを見極めて どの程度で正気を取り戻すのか知りたい」「だがまぁこんなもんで見られてたら集中できんだろうし まずは映像も音声もオフにしておく」
「わしと柳はB室でお前の体温変化だけをチェックし 規定値を逸脱した場合はB室からの音声をオンにし呼びかける 突然音や映像を拾われても困るだろうから」安斎「……」加納「前もって「つなぐ」と声かけした後にA室の音と映像を拾わせてもらう」
安斎「…行動指針的にはそれでOKなのか?」
加納「ギリギリセーフといったところか そのくらいは融通をきかせんとな」「見られてる方が興奮するカップルもいるが」
つかさ、ヒイイ

<トレーニング初日 変異要因の観察>
「ほんとに映像も音もオフになってんだろうな…」
つかさ「さすがに盗聴とかはしないんじゃないかな…」「ほら このアイコン オフラインになってるよ」マイクペケと映像ペケのマーク。つかさ、安斎のすぐ隣にいる。安斎一瞬沈黙。(あ)
安斎「……この部屋 うちと間取り同じなのに広く見える」
つかさ「ちらかってる?」くすくす。安斎「割と」「バーサカキで昔使ってたソファをもらってるから それもあるな」
つかさ、ベッドに座って「ソファいいね うちもうちょっと広かったらソファほしかったな 座椅子でもいいけど」
安斎「座椅子は人をダメにするって言うぞ」振り返る。つかさ「こたつもね」くすくす
安斎「……」(ヤバイ)(当たり前だけど)(密室だ)(部屋に2人なんか初めてじゃないし さっきだってつかさの家行って2人になったじゃないか)(ふつうだふつう)
加納<『やる』かどうかは 任せる>
安斎、額をゴリッと壁にぶつけてよっかかる。つかさ「あの… 大丈夫?」
つかさ、器具をさし「つける?この…なんかいろいろ」安斎「あ ああ」

爪カバーつけてみる
安斎「爪が伸びた分の長さをカバーするんだな」つかさ「なんかかっこいいね」
安斎「先は丸くなってるか… でもこれはこれでとんがってるし危ないんじゃないのか」爪カバーでつかさをつんつん。つかさ「あひゃ」
安斎「変な声出すなよ!!」つかさ「いっいや くすぐったいのとか弱くて…」
安斎「手錠」つかさ「手錠いる? ちょっと抵抗あるなぁ…」
安斎「……かけてみて」
カション 安斎「これはちょっと余裕あるな 鎖に」
つかさ「猿轡は…」安斎「んー…」「首から提げとくか」
つかさ、ぼそぼそ「でもこれつけたら…」ごにょごにょ「ちゅーできない…」すごい小さな声で
安斎(——)
つかさ、頬っぺたが赤くなっている。
安斎、体の向きを変えて座る。(かわいい!!)
加納の言葉<任せる>思い出す 安斎(黙れ!!!)カッ
つかさ「……そういえば 撃たれたとこって 痛みとかはない?」
安斎「え?ああ… ほら」服のボタンをはずし開く。
つかさ「あひゃっ」
安斎「え!?」 つかさ「ご ごめん 男性の裸を 見慣れていないもので…」
つかさ、傷跡に気づく「……跡は残ってるんだね」「腕も撃たれてたけど」
安斎「そっちはもっと薄くなってる」腕まくり 「痛みは全然ない」「ほら触っても全然」
つかさ「……」
安斎「……触る?」
つかさ「い いえ そんな恐れ多い…!!」安斎(恐れ多いことか?)
つかさ、一瞬溜めて、傷跡に触る。二人沈黙。
安斎(ヤバイな 心臓早いの伝わる)
つかさ(……男の人って乳首ちっちゃいんだな…ってどこ見てるんだか!!)ドーン
つかさ「し 白いね きれいな肌…」安斎「色悪くないか 青白いというか」
つかさ「そんなことないよ 雪みたい」
安斎「……好きに触っていい」つかさ、カァー
沈黙ののち、腹筋にポスッとパンチするつかさ
「鍛えてる」安斎「でも警官にしてはまだ… 沢崎はもうちょっと腹筋あるからな」つかさ「へぇ…」
うつむきがちなので頭頂部見える
安斎(……髪)指を伸ばす安斎。
(やわらかそうな…)安斎、ふわーっと引き寄せられて頭にキスする。
つかさ、反応して目がうつろ。キスされ続けている。思わず目を閉じながら手を動かして乳首に触れてしまう。
安斎「ぁ…っ」
つかさ、ザアッとする。2人、思わず静止。
安斎「…ごめん」
つかさ、真っ赤な顔のまま「ごめ… わざと では……」うつむき、沈黙。安斎「いや別に」ちょっとびっくり「え… 大丈夫?」
つかさこれまでにないほど真っ赤。
つかさ、ばっと顔上げて「あんざいさんも さわる!?」
安斎、びっくりしてきょとん。
「なに を…」
つかさ小さな声で「おっぱい」

体温変化、上がりだす。
柳「あ 動いた」
加納、変化をじっと見ている。

安斎「な なに言ってんだ」つかさ「触っちゃったから お返しに」
安斎「お 男と女じゃ 胸の価値違うだろ!?」つかさ「そうかな!?」
「…でも その できればもう一回触らせてほしいので…」
安斎「……」「俺のは別に 好きに触っていいからほら」服を肩から落とす。つかさビビり目をそらす。
安斎、つかさを引き寄せる「…ほら いいから」
つかさ、乳首触る。
安斎、声は上げないが、くったり目を閉じる。つかさの頭に顔をうずめる。
つかさ、乳首を触りながら、安斎が胸で息をするのを見ている。安斎の手を胸に誘導する。
安斎気づく。
胸の上に手が載っている。安斎の目に血が混じり始める。
安斎の手が動く。つかさ「…」※このあたりから会話なくす
つかさ少しぼーっとして、服に手を入れ(ブラジャーが…)外そうとする。
安斎、目元が前髪で隠れている。
手錠の腕でつかさの頭を通し、引き寄せて外すのを手伝おうとする。指先震えている。
つかさ、安斎の肌に顔埋めてぼんやり。乳首と傷が目に入る。
つかさが傷跡にキスするのと、ブラジャーのフックがはずれるのが同時。安斎、目が見開かれる。ザワっと血が押し寄せる。
ドサッ

ピピッピピッ 柳「!」
加納「32度 注意喚起だ」

柳『安斎 規定値を超えた 15秒後に通信を開放する』
(見開き)安斎、つかさを組み敷いている。ブラジャーが外れて胸の上に載っている。下半身が服の上からつながっている。安斎、目が真っ赤。冷や汗少し。
安斎、息を切らしている。目が合い、我に帰る2人。
つかさから動き出し、安斎のずり落ちたシャツを戻してやる。
安斎、我に帰り「……胸隠して」つかさ「うん」
つかさ、カメラに向かって座る。安斎は背中を向けている。
映像つながる。加納「今ので体温32度だ 個人差はあるが変異に移る第一段階とされている 状態は?」
つかさ「……目だけ赤くなってます 爪は…」安斎、半透明のカバー見せる。つかさ「2cm…」少し伸びている。
柳『理性を取り戻したタイミングは?』
つかさ「無線が入った直後だと思います」
加納「…うむ」「ありがとう 少し休憩しよう」

安斎「……ごめん 報告させて」
つかさ、首を振る「…大丈夫?」
安斎、うなずく「ああ」「ちょっと部屋戻る」
つかさ「……わかった」「いいとこだったのにね」照れ笑い
安斎「……ほんとに」柳『安斎 鎮静剤は打つなよ 日に一本しか打てないからな できるだけ自然回復させてくれ』

403に戻る安斎。ドアを閉める。目は少し戻っている。悔しそう。(……ちゃんと 制御できれば)(途中で止められなくて済むのか)
組み敷いたときの記憶思い出す。目を閉じる。
下半身がつながっている。(一瞬 押し当てた時)(音が かすかに聞こえた)耳のアップ<ピチャ>
(多分 濡れてた)目がまた真っ赤になる。
息を切らし触り始める。八重歯がとがる。「…あ あ」
[1ページ](濡れ てた……)

[対になる1ページ] つかさ、ベッドに寝転がってぼんやりしている。ほてった顔を触っている。

菊原、取調室のゼロヨンを見ている。「何も話しません ずっとこの調子で…」
「代わってくれ」担当者と代わる菊原。
ゼロヨン、ちらりと菊原を見る。
菊原「痛そうだな 鼻」
ゼロヨン、じっと上目遣いに見る。菊原「お前を連行した刑事はお前に手を上げていない 逃げる途中で転んだか? それか誰かにやられたか…」菊原、指をトントンと二回机に。
担当刑事「今はそんなことよりこいつの目的を…」ゼロヨン「髪の長い 外国人と」
「ガスマスクした黒い髪の鬼に 殴られた」
担当刑事「?」
菊原「……長髪の方は銀髪か」指トントン
ゼロヨン「うん」
菊原、口を動かし<上出来だ>
ゼロヨン、顔が明るくなる。

課長室で会議。会議室に入る面々を見送る朝海。
管理官「五課の一部の班について人員補充要請があります 捜査一課からどのくらい出せますか」
宮内「そんなには… 第一今の臨時体制でも結構入れてるつもりだ」
菊原「——F班の 班長を交代させるべきです」
町田「なぜ?」
菊原「現在拘留している坊主頭のあの男ですが どうもF班の鬼の巡査に追われていたようで」
管理官「…昨日か?鬼は全員待機のはずだが」
菊原「この巡査 池袋事件でも出動命令は出ていなかったのに出動していました 見る限り沢崎班長も黙認していた」「沢崎さんは鬼に甘いところがあるのかも どう思います?宮内さん」
宮内「……沢崎は もともと捜査一課(うち)にいた」「今回みたいな臨時体制が昔にもあって その時沢崎は鬼の雪森巡査とペアを組んだが」
「……結果的に彼を死なせてしまった」
管理官「……ミスか何かで?」
菊原「当時も鬼の待機命令が出ていて しかし必ずしも鬼抜きで解決する事件ではなかったと聞いてます」「雪森巡査は鬼も出動すべきだと主張した」「沢崎さんはしかし結局出動させなかった」
宮内「判断としては普通だ 上の決定に従ったまで」「ただ…」
「その事件の被害者に 雪森の配偶者が含まれていた」

沢崎、お墓の前に立っている。
菊原「雪森巡査はその後体の不調を訴え辞職するも 精神は回復せず 半年後に自殺しました」
「沢崎さんは心優しい その体験が彼の甘さにつながっている可能性は大いにある」「今はひとまず油断ならない時期です F班は班長を別に立て 沢崎さんを指揮から一度外すべきかと」
町田「しかしかわりに誰を当てるんだ この人手不足のときに…」
菊原「A班(うち)に石丸という男がいます」

宇野「石丸さん ラーメン食いにいきません?」
石丸、顔は見えない「あ はい…」
菊原「地味な男ですが信頼に足る人物です A班でも私をよくサポートしてくれる 班長の器がある」
町田「——仕方ないな」「F班は班長を石丸に交替させる」

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