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わたしの世界

よりよくあろうと身体(からだ)を起こし

空は明るく無防備に

今この大気に星が落つれば

どんなに心地がよいであろうか


淡々かすむ酸素のかおり

我が心は薄氷の如く

百合の花は明るくしぼみ

交差点を行き交う人びと


誰も見えていないのか ああ 誰にも見えていないのか

果てない雲をつんざく闇が わたしの声を塞ぐことを

とうぜん何も見えはしないのか

いちめん背中が汗で濡れても


総じて過去は苦しいもので

概して未来はつまらぬもので

ならば現在(いま)はと足を見れば

親指の先が透けていた


地面は雨で流れてゆくが

多くのものがごろごろ並ぶ

きー とん とんとん

がー たん たんとん


誰にも見えはしないのだろう ああ 誰にも見えてたまるか

果てない息を貫く夜が わたしの命を隠すことを

とうぜん何も分からせはせぬ

いちめん世界は私のものだ

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