姥捨山 第5章 全17章
玲子を乗せた黒塗りのワゴン車は、高速道路を降りて細い農道を走り、舗装のない険しい林道に入った。林道は杉の葉が敷き詰められ、左右から小枝や枯れ草が飛び出している。暫く走ると、林道は行き止まりになった。しかし、ワゴン車はアクセルを緩めることなく、膝丈程まで草が伸びている草原を走り続けた。泥濘みを勢い良く走り抜け、ワゴン車の側面には、飛び散った泥が歪な模様を描いた。寝せらた玲子は、五感の二つを遮断され、胸が裂かれるような恐怖を味わっていた。口を覆われていないため言葉は発することが