思い出を生活史に ー自分史からはみ出た思い出は小さな歴史
はじめに
自分史を書いているが、どうしても思い出に踏み込んでしまいがちである。自分の定義では、自分史は、”妻子孫(子々孫々)に捧げる私の歴史”である。個人的な思い出は、その枠からはみ出してしまうし、世の中でも思い出は自分史に含めていない。しかし、その思い出は個人のものではあっても、時代や生活環境を反映していると思われ、広く後世に伝える価値のあるもののような気がして、筆を執った。私の経験では、同年代であっても暮らした地域によって記憶が異なる。すなわち、経験が異なる。そうではあ