なんとかなる。なんとかする。

知る人ぞ知る、VRアイドル「鈴木あんず」座右の銘です。
先日行われた19歳の誕生祭生放送内で言及があったので、当時を懐かしみつつ、感じたことをまとめてみようかと思います。
毎分4500発のガトリングトークを行う「白藤環」の影に隠れがちで、良いことを言う以外、進んであまり発言しないあんず氏が独白したことは、個人的には驚きがあったわけです。
それと同時に、今のえのぐの立ち位置について、おそらく彼女たちがどう感じているのかが想像できる内容だったので、極初期から追ってきたものの視点を交えて語ってみようかと思います。

あんたま時代に行っていた体験会でのあんたまにあ(ファンネーム。現えのぐみ)からの「座右の銘ってあるんですか?」という問いに彼女が答えたもの。
それは現在にも受け継がれているよう。

※直接の言及は37分55秒辺りから

当時を振り返って「なんとかなる。なんとかする。なんとかしなきゃ」という、その場を乗り切るための暗示だったとのこと。

確かに4年前はすべてが場当たり的で、お世辞にも「完成されたプロジェクト」ではなかった。
今でこそ「VRアイドル」と言えるものの、当時はまだ「アイドル研究生」であったし、化粧直しも頻繁であり、機材トラブルも頻発しており、実際、企画そのものの手探り感は否めず、円滑なイベント運営ができていたとは、お世辞にも言い難い。
加えてあんたまのトークスキルも、当時のYoutube界隈を席巻していたYouTuberほど上手いわけでもなく、そもそもデビューすらしていない状況なので当然「持ち歌」があるわけでも、秀でた芸を持っていたわけでもない。
ただ、会場に来ていた来場者と「お話」をすることが精一杯だったし、その枠から抜けることも出来なかった。
回数を重ねるごとに会話以外にも「エチュード」や「ものまね」なんかを始めたものの、正直「推しがやってるから見る」という、ある意味義務感があったから見ていられたとも言える。
(語弊を感じるかも知れないが「今」を知るからこその言い回しである)

そんなわけで、当時はひとつひとつの場を乗り切ることが絶対で、同時にそれが最低限の目標で、自分たちが出せる限界でもあった。
だからこそ「座右の銘は何ですか?」と問われた際に、少し悩みながらも出した答えが「なんとかする。なんとかなる。」だったのだと思う。

『なんとかする。』
自分の居場所を守るためには、日々与えられる目標をクリアしていくしかないし、求められることに応えなければ、未来には繋がらない。
だから「なんとかする」しかない。

『なんとかなる。』
一度は存在が消えかけながらも、アイドルデビューするための二度目のチャンスを得られたこと。
苦境の中でも少ないながらも「推し」と宣言してくれるファンが少しずつ増えたこと。
何より、鈴木あんずと白藤環の二人で、日々を乗り越えられていること。
だからどんなことがあってもきっと「なんとかなる」。

不安に巻かれながらも、それでも前へ前へと進もうとしている、前へ進みたいという心の苦しさと、自分自身への暗示が混じった、当時の空気感をそのままにした言葉だったと思う。
今から振り返ってみると、それは座右の銘というより、本心だったのかも知れない。


あっという間に4年が経過して「4年前と比較して、どう変わりましたか?」の問いに「やんなきゃ、というより、出来るという…。違い分かるかな?」と答えている。

このときも問に対して、少し悩んだように感じた。
しかし、4年前の受け答えのときとは違い「何か言わなきゃ」という迫られた困惑ではなく、「答えは決まっているけど、どう表現すれば良いのか」という考えを巡らせたような印象を受けた。
(質問が事前受付というのもあったろうが…)
この時点で「あぁ、自分に対して自信が付いているんだな」と思った。

個人的に、彼女は感情を言葉にする機会が少なくとも、声に出るタイプだと思っている。
寡黙で静かな彼女の言動からは、なかなか読み取ることは難しいと見えるかも知れないが、彼女の声には感情が良く乗っていると思う。
困惑すれば、声が小さくなり、少し震えたようになる。
喜ぶときは、声量とトーンが上がり、継ぎで少し引っ掛けたりする。
嬉しいときは、早口になって、声に厚みが出る。
などなど。

今回の言葉は、悩みながらも凛としていて、伝えたいことは決めてある。だけど、それが伝えられるか、伝わるか、届けるにはどうしたら良いか。
何をどう表現したら相手に伝わるのか逡巡しているような印象。

今の『なんとかなる。』
それが困難なものであっても、今まで乗り越え続けてきた自分なら、挑戦することが出来る。
新しいことをやってみても自分のものにしていける。
どんなシチュエーションでも自分のものにしていける。
過去の自分から来る自信。

今の『何とかする。』
どんなことでも何とか出来る。
今まで出来なかったことでも、出来るようにすることが出来る。
今までのものも、違う何かに昇華することが出来る。
どんな状況でも、コントロールしてみせる。
今までの経験から来る自信。

本心なんて彼女自信にしかわからないので、ここまで綴ったのは、あくまでも個人的なこれまでの経験論からくる推測でしかないので、間違った読み取り方をしている可能性もあるので、個人の感想という域であるが、場をコントロールできる実力と自信があるということは間違いないと考えている。

で。
こういった言葉が「えのぐ」の立ち位置にどう繋がるのか。

「鈴木あんず」という存在は、えのぐの中で幾度も「良いこと言う担当」とされ、MCなどでも必ず「まとめ役」を任されてきた。
つまるところ、彼女は「えのぐ」をまとめる大事な場面で絶対的な信頼を得ていることになる。
えのぐみも幾多の場面で、彼女の言葉に聞き入り、都度、頷き、納得することも多かったと思うし、環ちゃんも、ひなおも、ハル姉も、あんずの言葉なら安心して任せられるし、えのぐとして代弁で問題ないという共通認識があるからこその「良いこと言う担当」を譲らないのだろう。

そんな彼女が自信に溢れた「なんとかなる。なんとかする。」と言ったということは、「えのぐ」自体がどんなことでも「なんとかなる。なんとかする。」精神を共有しているのは想像できる。

事実、えのぐは先日開催された「臨戦態勢 麗 / 吼」では、洗練されたパフォーマンス以外にも、日向奈央のソロダンスや夏目ハルのヒューマンビートボックスなど、目に見えたものは少ないながらも、これまで見せたことがなかった新しいスキルを投入してきた。
本人たちは「なんとかなる。なんとかする。」精神の結果、あのようになったのだろうが、こちら側からすれば「なんかすごいことになった。」という印象だった。

今までは「あれが出来ない。これが苦手。」と言った、与えられたシチュエーションにさえ振り回されていた彼女たちが、実力を付け、余力を持て余した結果、「ただ歌って踊る」パフォーマンスを「歌って踊るだけでなく、表現していくライブ」に昇華させたのが「臨戦態勢 麗 / 吼」だと思う。
まったく新しいことへの挑戦をするということは、基本の部分に対して、相当の自信と確証を持っていなければ、そうそうできるものでもない。

えのぐはライブをするたびに「最高のライブにするから!」と口癖のように言い続けてきた。
これは実際、常に成長を感じるステージだったので「最高を更新し続けている」ことは確かだと思う。
何より、いま自分たちに対して、自分の実力と実績からくる自信を背負っている限りは、何にでも挑戦するし、何に対しても怯むことはないだろう。
だからこそ、えのぐは「絶対、最高のライブにするから!」と言う言葉を裏切らないと思う。

一方で、懸念点もある。
個人的な経験則ではあるが、物事には「なんとかなる。なんとかする。」が通用しない瞬間があるということ。
「最高を更新し続ける」という場面でも、上を目指して進み続けた結果、誰よりも高くなってしまったとき、それ以上何を積み上げれば、より高くなるのか、より高くできるのか、一瞬わからなくなってしまう。
そういう時「スランプ」に陥りやすく、低みへ落ちやすい。
最悪の場合、今までやってきたことが正しかったのかと、疑心暗鬼になり自問自答をし始め、積み上げてきた自信すら喪失してしまう。

そんな懸念点があるものの、個人的には、
『それでもえのぐは「なんとかなるし、なんとかしてくれる」』
と感じている。
前述した通り、えのぐは自分たちのパフォーマンスに対して、基礎的な部分で自信を付けていて、その上で「新しいこと」への挑戦を始めたことが大きい。
特にハル姉が「もっともっと新しいことをしたい」という、知らないスキルへの積極的なアプローチは、メンバー全体にも良い効果が出るだろうし、ひなおのライブ中のソロダンスを担当するという、見た者へのインパクトが強い役どころを取っていったことも、ライブパフォーマンスを向上させる上では起爆剤にもなりうる。

この他にも、環ちゃんのラジオ番組であったり、ずっずの声優としての活躍など、ライブパフォーマンス外の活躍も増えてきている。
これまで常に「メンバー全員が共有しているスキル」を取得してきた環境から、「個人個人にしか与えられていない」環境へ変化してきたのは、向上心や野心がある側からすれば、それらは羨ましくもあり、ある種の目標にもなりうるので、メンバー内でも切磋琢磨することになるだろう。
そうなると個人技にも磨きがかかるし、他より先んじてやろうという野心に繋がれば、えのぐとしての実力は長期的に見て大きく躍進するとも言える。

成長し続けられることは、えのぐみからのリアクションも大きく得られることにもなり、きっとそれはえのぐのモチベーションにも繋がるはずだ。
好循環になれば、えのぐは最高のパフォーマンスを見せてくれるし、えのぐみは最大限の称賛を送ることになる。
そんな永久機関が望ましいが、言っても生身合ってのパフォーマンスであることは忘れないでほしい。
自身に満ち溢れているときにこそ、限界を超えて何かをやりがちになるが、本当の限界を見失いやすいときでもある。
長い期間<<絶好調>>を維持するためにも、必要な休息はきちんと取って、頑張る一辺倒ではなく、リフレッシュすることも忘れてほしくはないと思うっている。
心身揃ってこそ「なんとかなる。なんとかする。」である。

個人的に願うのは「最高を更新し続けるえのぐ」ではなく、「えのぐがえのぐであり続けてくれること」である。
世界一のVRアイドルになるその瞬間まで「えのぐ」であってほしいと思う。
これは、えのぐ自身が強く思っていることでもあると思うが、あえて記す。

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