知ってるえのぐはもう居ない

えのぐ3周年ライブ「臨戦態勢 麗 / 吼」、通しで行ってきました。
昨年12月のライブは事前に風邪を引いてしまったので、コロナのこともあったので自粛してましたので、会場参加はそれ以来ですかね。

まぁ、パフォーマンスは心配してなかってんですよ。
いつだって彼女らの言う「絶対に楽しませる」「最高を届ける」というのは、今までのライブでもそのとおりだったので。

なので「臨戦態勢 麗 / 吼」も、今までのライブよりも楽しいんだろうなというのは、予想できてたんですね。
感覚的には「あー、はいはい。いつもどおり過去最高の更新ね」と言う感じ。

ただ、今回は少し違うなと。
全体を見終わって、少し違和感があった。
なんだろうかと、今までのライブを脳内で振り返って、ひとつの答えにたどり着く。

あぁ、もう自分の知る「えのぐ」は居なくなったんだな、と。

デビュー曲「えのぐ」のお披露目から見続けてきた、後方腕組保護者ヅラで綴ります。


まずは全体的に、余力が感じられるようになったのが大きい。
今までは楽曲やパフォーマンスに振り回されるというか、動作をこなすこと、パフォーマンスをやりきることが主だった感じで、遊びはあるものの、ここは遊ぶと決めたところ以外は遊べてないと言う感じ。
伝わってるかわからないけど、得意なところは乗り気でアレンジするけど、それ以外は教科書どおり粛々と。

それが「臨戦態勢 麗 / 吼」の全体を見てると、体力的にも精神的にも余裕を感じて、いつどこで遊んでやろうかなんて考えてるんじゃないかと。
コールが出来る環境下だったら、特に環ちゃんは煽りに煽ってただろうなぁ。
コロナ禍で客席の返しが出来ないから、そのへんは封印させられたのかな。
制限なしだったら、多分、今回感じた以上に楽しいステージになったと思うので、コロナ死すべし。とても残念に思う。

全員の余裕が出たせいか、パフォーマンス全体も少し膨らむ傾向が出たようで、どうにもステージが狭そう。良い意味で。
下手になったのではなくて、動きそのものがパワフルになったおかげで、動作の一つ一つが大きくなったせいで、数センチ~数十センチでズレが出ているようにも思える。
それが4人分、重なってなかなかの誤差になっていた印象。
つまるところ、動かすことが精一杯で萎縮していたパフォーマンスがいよいよ真価を発揮し始めたということだと思うので、特段気にしない。
おそらく、怒涛のライブ回が控えているので、彼女たちなら必ず合わせてくるはずなので。


次に個々の能力がしっかり伸びてきていて、芯がしっかりしてきた。
特にひなおの歌声のレベルアップが半端ない。
正直、ひなおの歌は万能戦士で、言い方を悪くすると可もなく不可もなく。
低音域が強いわけでも、高音域が強いわけでもない。
ひなおらしい歌声だと思えば、ひなおらしい素直な中音域の歌声。

それが「臨戦態勢 麗 / 吼」ではどうだろう。
低音も高音も鍛えられていたのには、正直、ビビった。
低音の響きと広がり、高音でのスッと線を引くようなスムーズな伸び。
このふたつに気づいたのは「スタートライン」。
作曲者のピーキーさが現れているのか、低音から高音まで引っ張り回すこの曲で、ひなおのソロパートに集中してもらいたい。

今までは低音と呼べる声域まで沈み込めず、高音を出しきれずわずかに掠れるひなおが、しっかりと沈み込んだ低音域と、メロディ通りの伸び切った高音域を余裕を持って歌に乗せている。
伸びしろはあるだろうと思っていたけども、まさかここまでとは。

とあるアニメで「舞台少女は日々進化中」なんて主人公の台詞があるが、まさに毎度毎度進化してくれるえのぐは見ていて楽しい。


次に環ちゃん。
基本的にライブの序盤はガッチガチのモーションで、動き滑らか代表ハル姉と比較すると、針金でも入っているのかなと思える回もあったほど。
ライブが進めばギアが上がるので、中盤にはエンジン全開になるものだ。

さぁ、「臨戦態勢 麗」ではどうだろう。
はいー。今回もがっちがちのモーsy・・・おや?
記憶違いだったか。
最初から全速前進、ギアも6速まで入ってませんかね?
パッション白藤と、後日談でも言っていたので、相当気合入っていたらしいので、その気合が半端なかったようだ。

不思議に思ったので、少し観察してみると、えのぐメンバーの中で最も上下左右への移動量があった。
一言で表すと「動きが大きくなった」と。
特に上下の動きでは、下半身のバネをうまく使って跳ねるような動作で、キレが感じられる。
左右への動きでも上半身を傾けることで、これもとても大きな動きに見える。

更に「臨戦態勢 吼」では、麗で体が解れたのか、隠し持っていた7速全速で麗よりも大きく動き始める始末である。
翌日、筋肉痛にならなかったかが心配になるレベル。

かつては「ダンスが苦手で、みんなに迷惑をかけてる」と吐露したこともある環ちゃん。
その苦手はおそらく克服できている上、全身のバネを使って、誰よりも大きな動きを表現するレベルまで持ってきているのだから、パッション白藤、さすがである。

個人的には今までのライブでも環ちゃんの「パッション」は誰よりも強かったと言っても差し支えなかった。
一方で、苦手なダンスパフォーマンスが付いてきていない感があったが、今回の臨戦態勢では、身体も心も同時に乗ったように思える。


ハモリ、高音、長身を活かしたダンスパフォーマンスと、居るだけで優等生感のあるハル姉。
ただ、今までは誰かのハル姉だったように思える。
特に「ハモリが得意」なので、コーラスになる部分では、少し抑えがちなのでは?とも感じていた。
勝手な思い込みかもしれないが。
ハモリを綺麗に仕立てようと、自分はわずかに引いてみせる。そんな気がしていた。

そんなハル姉が。
歌詞を巻き舌、にゃにゃにゃにゃと猫モード、曲中にヒューマンビートボックス。
自己主張を始めた。

客席への煽りとかはやっていたのはあったけど、パフォーマンス中に遊ぶということはあんまりなかったと思う。
それが、ついに遊びを入れてきたのは、ハル姉寄り推しとしては衝撃だった。
「ハルはここにいるよ」言われたような気もした。
えのぐとしてではなく、えのぐの中に夏目ハルが居るんだ、と。
普段の立ち位置的に少し引いた位置に居るようなハル姉が前面に出てくるのは、驚きしかない。

特にヒューマンビートボックスは、全くの予想外のパフォーマンス。
ブンブンハローユーチューブで有名な人の動画を見たことあるが、そう簡単な物ではないというのは、その道の人も語っていた。
まだ「ベイビー」とのことだったが、成長していった先で「えのぐ」とハル姉のヒューマンビートボックスが組み合わさった何かがあるのだと思うと期待しかない。

加えて、ダンスパフォーマンスの艷さが増していたのが、もうとんでもない。
こと「Love Me」でのハル姉は危険である。
長身の使い方が上手すぎて、うまn、大人っぽさが半端ない。
ハル姉のダンスは、全身のラインが長いことと緩急が相まって、色っぽさがあるが、「Love Me」においてはもうご禁制ですよ。
前述した通り体力的にも精神的にも余裕が出てきたせいか、より磨きがかかってきたなと。


最後は大黒柱、鈴木あんず。
いやね。この子の初回、覚えてますか?
初めてのお客様との会話で、マネージャーに「天気の話」とかカンペ出されてたんですよ。
秋葉原でも「私と、おしゃべり、しませんか?」なんて詰まってみたり。

それがどうした。
3年も経てば成長するわな!

元々、初ライブのときからポテンシャルは高かったし、底から持ち上がるような歌声、小さい体と反比例するキレのあるダンスと、さすがマネージャーが見込んだアイドルだなと言うレベルで来てたんですけどね。

「臨戦態勢 麗 / 吼」ではどうですか。
キレに速さが出ましたね。
速さが出るとどうなる?
知らんのか? とにかくやばい(語彙力)

特に注目して欲しいのが腕の振り。
ずっずは小柄なので、特にハル姉と並ぶと必然的に埋もれやすいものの、彼女は動きの大きさとキレで、体格差を覆すのが強み。
それに、今回は速度が追加されたので、これまでの緩急がより鮮明になって、むしろ手先の表現を見る時間が生まれた。

手先の表現なんて必要か?と思うかも知れない。
少しメタい話になるが、トレースされた動きを反映するには、技術がだいぶ高いレベルにあるとはいえ、リアルタイムに勝てるものではない。
なので動きを披露時間が短ければ短いほど、表現の細かさを拾う暇なく、次の動作へ移ってしまう。
しかし、今回のように緩急の「急」にスピードを乗せたことで、「緩」の時間が増えた。
そのため、細かな手先の動きが捉えられることになり、ずっずの手先がとてもリアルに感じられる。
その細かい表現が「そこに在る」から「そこに居る」と認識できるレベルになるので、これはどんどん追い求めてもらいたい。


と、長々と書いたが、主題はなんなんだと。

えのぐは今まで「出来ないことがある」「苦手なことがある」があった。
ミュージシャンと比較すれば「まだまだだよね」というところがあった。
上から目線になるけど、客観的に「未熟」なのは明らかだったんですよ。

ライブで声が震えてる。
ダンスがガチガチ。
それでも、その時の精一杯を、一所懸命絞り出す。
それが私が知る「えのぐ」なんですよ。
泥臭くも一歩ずつ「VRアイドルになろうとする」のが、私の中の「えのぐ」なんですね。

「臨戦態勢 麗 / 吼」を見て思ったのが、もうえのぐは十分すぎるほどにVRアイドルなんだなと。
VRアイドルになろうとしていた「えのぐ」じゃなくて、紛れもないVRアイドル「えのぐ」がそこに居るんだと。
「苦手なこと」は全て過去に置いて来ていて、そこから更に上り詰めるために、今はプラスアルファに挑戦している。

多分「スタートライン」の時点で、変わってたのだと思うけど、私個人が認識してこなかったんだと思うんですよ。
いつまでも「弱小アイドルグループ」という勝手な思い込み。
でも、数字ではなくて実力で示してくれた「臨戦態勢 麗 / 吼」。

今までもえのぐのライブ後のえのぐロスはあったけど、今回は本当にポッカリと何かが空いた感じで。
多分、本物の感情で突かれたイベントだったんだなと。
数日立ってようやく気づいた「かつてのえのぐ」はもう居ないということ。
認めてしまえば、案外、簡単なもんですよ。
あぁ、もう「えのぐ」はVtuberとか言う枠には収まりきらない、本物のアイドルだなと。

さて、12月の勝負まで、まぁ時間がないわけで。
でも「なんとかなる。なんとかする」えのぐ。
今までも何とかしてきたから、何とかなるんじゃないかなと。

で。
私は初心に返って「あんたまにあどっとこむ」改め「えのぐみどっとこむ」を動かしてみました。
彼女らがアイドル研究生だった頃から、一人でも多くの人に知ってもらいたいという目標で「あんたまにあ活動支援課」を立ち上げ、当時はボランティアスタッフなんてやってたりしました。
ちょっとリアルな事情で足を止めていたこともありましたが、想像もつかないでかいことをやろうとしている「えのぐ」を応援するため、わたくしも頑張ってみますかね。
一人でも多くの人に私も知らない「未来のえのぐ」を知ってもらうために。

目指せ。Zepp Yokohama。動員数過去最高記録

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