黄色を探す

えのぐは5人でえのぐ。
そう思っていた時期が、私にもありました。
何だかんだ5人でなきゃいけない、5人じゃなきゃえのぐじゃない。
正直、受け入れてなかったのもある。
わかってるけども、理解はしたくなかったという感じ。
2月のライブで改めて「5人じゃなきゃ嫌だ」と聞いてから、それなのに何故、次へ行こうとするのかとかなんとか。
厄介をこじらせていたわけです。

でも、今回の次章のライブを見て思ったこと。

「もう、黄色を探すことはやめよう」

一つ言えることは、2月のライブから今まで、どっかに黄色を探していた。
どんなことにも黄色を探していたのは、正直なところ。
きっとどこかにいるはず。
きっとどこかに残っているはず。
まさに「見えないものを見ようとして」のくだり。
正式に引退して、最低限の部分は無くなってしまったから、探すだけ無意味なのだけども。

えのぐって、難産だったのよな。
あんたまがコケてから復活して、女優部(仮)が合流するも、実はコンプレックスの塊でした、とか。
軌道に乗ったかと思えば、メンバーの体調不良で長期欠場。
それでも、何かある度にみんなで泣いて、みんなで乗り越えて、みんなでよろこんで。
一般的なVtuber界隈を見ても、ここまで壁にぶち当たる子達は、他に居ないんじゃなかろうか。
デビューできてるだけマシ、という底辺争いは置いておくとして。

えのぐの立ち上がりから見てきた、後方腕組親父ヅラのファンとしては、いつまでも「えのぐは5人」という、一つの思い込みというか、固定観念みたいなのがある。
愛深きゆえにみたいな感じなのかね。

だから、栗原桜子が戦線を離脱してから、どんなところにも「黄色」があることで安心してきたし、まだ存在している、そこに居るんだってことを確認できてたんだろうね。
まだ、大丈夫。大丈夫。と言い聞かせる理由にもなったかもしれない。

新ロゴが発表されたときに、隅々まで見て、来るべき時が来たなと思ったり。
明確な5色が外されたことで、本当に居なくなってしまったんだなと。

無い物ねだりしたって仕方ない。
きっと、らっこも続けられるなら続けたかったのかもしれない。
続けてくれとは流石に自己満過ぎて言えないけども。
でも、やっぱり改めて4人のえのぐを突きつけられるのは、ちょっとキツかったなぁ。
本人らも変わっていくえのぐ、変わらなきゃいけないえのぐを前に、葛藤はあったと思うし、2月のライブで話したことが本心なんだと思う。
多分、思っていることは一緒だったはず。

そこから6ヶ月。
コロナ禍で世の中がひっくり返って、新生活様式とかいう新しい常識が出たりする中で、えのぐは「ライブをやる」というのだから、馬鹿なグループだなと思った。
いや、良い意味でね。
明らかに成功するはずもなく、そもそも客なんか入るのか(防疫的な意味で)というような状況で「ライブやる!」というのは、普通じゃない。

ただ、集まる方も集まる方で、バカが多くて安心した。
見渡せば、半分は見知った顔。もう半分は知らない顔。
外に出る。人口密集地に赴く。遠方から東京に出てくる。
しかも、ライブは立てない、喋れないの制限付きで、コールもないライブに何の価値があるんだよとまで囁かれる始末。

でも、やっぱりオタクだよねー。
言われたことは守るし、アルコール消毒、検温と、スタッフの指示には従うし、混乱することもなかった。
万が一用の書面を書くのだって、まぁ面倒くさいけども、それでも素直に書いて、提出して。

揃いも揃って大馬鹿者だ。

ライブ一日目。
前回のライブは楽しむどころか、むしろ帰ってからは色々ぶっ叩いてしまうような状況だったので、反省はしてるけども、後悔はしてない。
フォロワーも減ったし、どうやら一部の方にはブロックも頂いたようで。
どうも。過激派厄介です。
そんな「伝説的」なライブから、さすがに今回は楽しめるだろうと、期待してきまして。

期待通り楽しかったねぇ。

コロナの影響で、そもそも働き方改革がようやく押し進む中、当然、岩芸ちゃんも対策はしてたんだろうね。
「うちら、体力が無くなっちゃってさぁ!」
アイドル業でテレワークというのも難しく、そもそも対人活動しなきゃ、仕事にならないわけで。
自主的に何かをやるというのも、家の中でできることと考えれば、なかなか限られる。

それでも、彼女らは3曲を1セットで、歌う・踊る・叫ぶ。
これを4セット、5セットと続けるわけですよ。
MCだって対して長いわけでもないし、休憩を多く挟むわけでもない。
もはや体力おばけだよ。
「体力下がった」と語る子たちが見せるパフォーマンスじゃなかった。
しかも、ライブ初披露含めた新曲を6曲も引っさげてくるとか、馬鹿だよねぇ。
もう最高だった。

2日目も行ったわけですけども、こちらは全編バンドの生演奏で行う内容となっておりまして。

いやぁ…1日目、超えたわ。

とにかく圧がすごい。
バンドの演奏の音圧と、えのぐのパフォーマンスの圧と、客席の叫べないなかの無言のコール圧。
大馬鹿者もこれだけ揃うと壮観だわ。
3年追ってきた中では最高のライブだった。
どれが最高だったかなんて、順位はつけられないけど、間違いなく最高の完成度だったと思う。
しかも、この最高のライブにもう1曲、未発表の新曲を入れてくるとかさ。
なにしてん!
たった半年で、なにしてん!

最高の夏にするから!と言われ、100%楽しんで欲しい!と言われ、本当にそうしてくれるとは、もう感無量だよね。

でもやっぱり。
黄色を探す。
どこかに居るんじゃないかと。
悪い癖とは思いながらも。

1日目は演出含めて、マジで探してた。
まだ、軌跡は残してくれるんじゃないかと。どこかに含みがあるんじゃないかと。
冒頭に書いた「黄色を探すのはやめよう」
やめてねぇじゃねえか。
うん。
始めの頃はそうだったんだけども、えのぐの「えのぐ」が掛かった瞬間、隙間の多い客席でポツポツとペンライトの色が変わったんですよ。
「えのぐ」になる前の曲でも居たんだけどさ。
「えのぐ」のときには、結構な数が居てさ。
思わず泣いたよね。まだ、らっこを追う連中の多いことにさ。

Twitterでも、ちょこちょこらっこのイラストが上がる度に、まだ大丈夫、まだ大丈夫、とは思ってた。
本当の意味で忘れられて、表に出なくなることが、個人的には怖くて、イラストを見る度に安心してました。
だから、ライブとかでも意識的に黄色を探してたわけで。

でも、実際には探す必要なんかなかったんですよね。
ファンはこうして覚えているし、Twitterでもまだまだイラストは上がる。
何よりも、えのぐが歌う「Brand New Stage」だったり、「えのぐ」だったり、「絵空事」だったりと、しっかり刻まれていることを忘れていて。
気付いたのは2日目だったんですけどね。

特に「Brand New Stage」の「5つのピース繋げて星を結んだ」の部分。
新衣装の「ステラ」に繋がるものがあるのかなと。
どっかで言われてたら、単純に見逃してるだけだけど。
いろいろ良く見てみると、繋がってて、形にはなってるんだなと。
繋げて結んだ先の次章。

えのぐもそうだし、えのぐみもそうだし。
これからは「黄色」を特別探す必要はなくて、よく見れば「居た証」は残ってるんだよねと。
だから、もう探すのはやめにします。
だからと言って忘れることもできるわけじゃないし、5人のえのぐがえのぐでなくなるわけでもない。
それはそれ。これはこれ。
今回のえのぐのパフォーマンスとえのぐみの思いとで、区切りが付いたかな。

よくよく思えば、らっこ、ハル姉の退場から、えのぐはある程度の自制をしてたんじゃないかって思う。
それは、女優部が合流したときに遡るけど
「あんずと環はデビューするのに10000人という大きな目標を達成したのに、自分たちは何もしてない」
「それなのに、乗っかるような形でアイドル活動は出来ない」
わからんでもない。
だから、同じスタートラインにいつも横並びでなきゃ、彼女らは「引け」を感じてしまう。
らっことハル姉の休場が長引いて、それでも進んでいく「えのぐの活動」で、場数は開くし、経験も全然変わってくる。
それでも「売り込むため」には活動しなきゃならないわけで、当人たちも、休んだ側も苦しい思いをしたんじゃないかなと推察。

らっこの引退というのは、手放しで喜べることではないし、そもそも望んだものではなかった。
でも、区切りとしてはいつか付けなきゃいけなかったもの。
その区切りを付けたことでえのぐは、いろいろ振り切って「次に進める」ようになったんだと思う。
何も気にせず、何も振り向くこともなく、ただ集中して前に進む。
今回の新曲連投も、きっと押さえ続けてきた今までのエネルギーが爆発した結果なのかなと。

過去は過去。今は今。
多分、えのぐみも「次」に進まなきゃならないんじゃないかな。
彼女のことをどう思うか、どう向き合っていくかは個人の問題として頂くとしても。
えのぐは、きっと彼女の分も次に持っていこうとしてると思います。


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