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気軽に漢方外来

 こんな症状で病院に行ってもいいものか?と悩んでいる方もおられるようです。先日、お腹の痛みとまではいかないけれど何となく違和感があると言う症状が2カ月間続くと言うことで1人の女性がやってきました。こんな症状でやってきてすみませんとおっしゃいました。なぜすまないと思うのでしょうか。それはおそらく西洋医学診療に慣れているからだと思います。通常の診療では、診察や検査で明らかな異常が出てこないと治療を開始できません。治療が開始できないような状態の場合、この程度のことでどうして病院に来たのか、と言うような反応が医療者から発せられるのがわかっているので、前もって申し訳ないと言ってしまうのだと思います。

 ところが、漢方の診療と言うのは必ずしも検査の中で引っかかる異常などは必要ありません。漢方と言うのは患者さんの訴える症状を総合的に見て治療方法、処方を考えていきますから、たとえ検査で異常がなくても、治療を開始することができるのです。そういった意味で、ちょっとした体の不調を相談する場所として、漢方外来と言うのは良い選択だと思います。

 さらに良いことには、日本で漢方医と名乗っているものは、医師免許持っている医師です。つまり西洋医学を学んできた上で、漢方診療も行っている医師と言うことになります。明らかな異常がなくても診療を開始できる漢方診療を行いながら、もし検査が必要であると考えれば必要な検査を行い西洋医学的治療も検討していくことができるのです。さらに必要であれば専門医を紹介してくれるわけです。体の不調を感じたときの診療の入り口とするにはとても良さそうだと思いませんか。

 そして漢方やっている医師でしたら体の不調のどんなことでも何でも相談していただけます。西洋医学だけを行っている医師の場合は、原因がはっきりしないような症状を聞くのを嫌がることが多いのですが、漢方診療と言うのは患者さんの訴えすべてが処方決定の指針となるわけですから、気になる事は全部言ってもらって構いません。逆に訴えが1つしかなければ他に何かないかといろいろ聞かれると思います。

 まぁ医者の性格もいろいろですから、漢方してるからといっていつまでも気長に聞いてくれる人ばかりではないと思いますが、基本的に言いたい事は全部言ってしまった方が良いと思います。とは言えあまりにも長いとそして何度も同じことをおっしゃるようだと私もさすがにストップをかけますけれど、主訴となる訴えと関係がないような症状や訴えの中に処方決定のヒントが隠れていることも多いので、訴えは丁寧に聞くようにしています。ちなみに、食べること、出すこと、眠ること、寒がりか暑がりか、元気かどうかと言ったことは、必ず聞くようにしています。また話を聞きながら、表情や動作なども観察しています。

 あと脈を診て、舌を診て、お腹を診て、手足の温度を診て
訴えの内容とそれらの所見を総合してこの人にはこの漢方薬で治療を開始してみようなどと決めるわけです。

 診察を受けて、もし明らかな異常がなければそれはそれで安心ですし、明らかな異常がなくても症状に対して漢方薬を出してくれると言うのはなかなか良いと思いませんか。明らかな病気とはいかないけれど存在する不調、そんな体調が改善して日々の生活が楽になるのであればありがたいですよね。どうぞ気楽に漢方外来を訪れてみてください。

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