タトゥー
30歳の誕生日に、人生で初めてタトゥーを入れた。
タトゥーを入れたいと思った始まりは、数年前アパレルショップで出会ったお姉さんだ。東京に来たときにたまたま立ち寄った店で接客してくれたお姉さん。どんな服を見たかは覚えていないが、最後にふと見えた手首に鶴の折り紙のタトゥーが入っていて、「なんてセクシーなんだ!」と思った記憶がある。
そこから街中でも、綺麗なお姉さんにワンポイントのタトゥーが入っているのを見るたび、どきっとするようになってしまった。ちらっと見える首筋とか、二の腕とか。ピアスを開けたいのと同じように、ちょっとやんちゃなことに手を出してみたい気持ちもあったのかもしれない。
そこで、30歳の誕生日をきっかけにしようと決めた。
秘密
なんとなく、女性の30歳というのは節目な気がする。
"30歳までに”というのはただのバイアスかもしれないが、例に漏れず私も"30歳までに結婚、出産したい"と思っていた。けど、現実にはまだ子どもはおろか結婚さえしていない。そんな中で、(目標達成もしていないのに?)何もせずに30歳の一線を超えてしまうことに負い目引け目を感じていた。「30歳になりたくない、やだ」と思っていたが、そんな風に悲観的に構えるよりかはなにか楽しみがあったほうがいいと思ったのだ。
そして、大人の女性として「誰にも言わない秘密が一つくらいあってもいいのでは」という結論に行き着いた。そのほうがなんとなくセクシーじゃない?という下心も込みで。親友にも、彼氏にも、もちろん家族にも言わない秘密。それがあれば、例えば死にたくなるくらいの気持ちになったとき、「でも私にはこれがある」と思えるんじゃないかと。心の拠り所としての秘密兵器がほしかった。
その思考と前述の記憶が結びつき、「30歳の誕生日にタトゥーを入れて、それを誰にも言わない秘密にしよう」と決めた。
ノーティカルスター
従って、決心したのはいわば「お守り」にするためだ。
実際入れる柄をどんなものにしようか考えたとき、一生自分の体に残したいほど好きなアーティストもいなければ、好きな花や言葉もなかった。だからそういうお洒落なものよりクラシカルなもの、いわゆる「オールドスクール」のジャンルから選ぶことにした。これにはハート、月、太陽、スカルなどが含まれる中、最も私のイメージにフィットしたのは「ノーティカルスター」だ。この意味で入れた!というのを忘れないように記しておく。メインは「魔除け」、サブは「正しい方向に導く」の2つ。大きなダメージを食らうような惨事がありませんように、間違った道に進んで後悔するようなことがありませんように。全然ポジティブな意味ではないが、私にとっては大事なことだ。成功とか希望とか幸福とかは自分の頑張り次第でなんとかするから、悲しい災難には見舞われませんように、という願いを込めた。
THE TATOO DICTIONARY
お願いしたのは東京藝術大学出身のタトゥーアーティスト、佐藤はなえさん。(@87hanae87)
せっかくなら少しでも縁のある方にお願いしたいなーと思い、Instagramの友達内を探し回った結果、STUDIO EANAHOTAS(@studio_eanahotas) に辿り着いた。
施術の後に見せていただいたのがこの本。
この中から、ノーティカルスターに該当する部分を備忘録として引用しておく。
これがわたしを守ってくれることを祈って。
よろしくね、わたしの30代。
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