仰げば尊し 我がフェティ師ズム


中高時代、私は社会科の先生が大好きでした。

ジャニーズ、韓流、若手俳優、二次元…魅力的な存在は多々あれど、いかなるイケメンを以てしても社会科の教師陣が放つ輝きにかなうものはありませんでした。
 学年が変わるたびに好きな先生を目当てに勉学に励んでいたおかげで、 試験へのモチベーションは比較的高かったと思います。
 
 たぶん、もともと先生フェチの素質があったんでしょうね。
櫻井翔が連ドラ初主演を果たした日テレの「よい子の味方~新米保育士物語~」を見たときに、「先生」というジャンルに目覚めました。

 だから金八先生も、ヤンクミも、GTOも、鈴木先生も、、、今でも「先生ネタ」が大好物です。ちなみに一番好きだったドラマは「女王の教室」。
 もし、先生を愛する同志がいたら、谷川史子の『清々と』という漫画を猛烈におすすめします。全四巻。読まずに死ぬな。
 映画だと「今を生きる」。これはもう名作中の名作ですね。

 そんなわけであらゆる先生コンテンツを愛する私は「先生!、、、好きになってもいいですか?」という映画を見に行ってきました。

 生徒役は広瀬すず、先生役は生田斗真。良い。内容はまぁ、お察しの通りです。
 映画好きが見たら「大根仁が水原希子を小悪魔にするのであれば、三木孝浩は広瀬すずを天使にするのね...」とか、そんな感じでしょうか。知らん。
先生フェチにそういう見方はできません。

 そもそも原作を読んでいたうえに、こんな性癖を持ち合わせているので、この映画を見に行かないという選択肢がなかったのですが、一番の目的は「自分がなぜこんなにも先生が好きなのか」という理由を探るべく見に行ったんですよ。
 普段、滅多に見ないティーン向け映画をわざわざ大スクリーンで見たおかげで、なんとなくその理由が分かった気がします。

 映画の中で、
「お前が未来に出会う災いは、お前が疎かにした過去の報いだ」 
というナポレオンの言葉が頻繁に使われるのですが、
「限りある学校生活を後悔のないように」というメッセージとして先生が語るわけです。
 
  私も学生時代は一瞬一瞬を胸に刻もうと必死でした。
「今この瞬間が、いつか自分の支えになる日が来るかもしれない...」という前向きな気持ちと、一方で「失った時間は二度と帰ってこない...」というある種の恐怖感があり、、、
 とにかく、どんな些細なことでも自分が経験し、感じたことはすべて覚えておきたかったんです。何をするにしても「今しかできない」が常に頭のなかにありました。

 そんな私にとって、先生と生徒という「期間限定の関係」は非常にツボだったのではないかと思うんです。やっぱり効くんですよね、「限りがある」というのは。
 4月に「この先生いいな」と少しでも思ったら、一気にモーションをかけて全力で好きになっていくのが私のパターンでした。「限りある学校生活」において迷っている暇はないのです。
 まぁ、この映画みたいに「先生と、どうこうなりたい」とまでは思っていなかったにしろ、えらく憧れていたことは間違いありませんでした。

 で、その憧れはどこからきているのか?
 たぶん、これもまた今になってからじゃないと気付けなかったと思うのですが、やはり「好きなことを職にしている」ところからなんじゃないかと。
 
 教科が好きだったり、子どもが好きだったり、教えることが好きだったり、その先生自身も学校や先生が好きだった過去があるかもしれない。
 まぁ、GTOの松嶋菜々子みたいな「OL教師」という事例もあるので一概には言えませんが、、、ドラマの見過ぎ?

 でも、私が好きになった先生には共通して、「あぁ、この先生はこの科目が本当に好きなんだな...」と思わせる瞬間があったんですよね。
 好きなことについて熱心に話をする人を目の前にしたら、そりゃあ好きになってしまう。私は情熱のある人が大好きなので。
 そして、それを仕事としてやっているところに強く心を動かされていたのだと思います。  
  
「それなりの覚悟や責任感を持ってやっているんだなぁ。」とか「それだけ好きだっていうことだよなぁ。」とか「仕事以外で見せる素の顔はどんな感じなんだろうなぁ。」など...もうキリがないくらい深々と先生について妄想していました。授業を聞けよ。

 当時好きだった先生から将来のことについて聞かれたときに「先生になるつもりは無いけど、いつか先生を支える仕事をしたい」と、話していたこともありました。
最近まですっかり忘れていたんだけど。

 結果的に今は全く関係ない仕事をしていますが、私が担当するお客様の中には教員をやっている方も多いので、ありがたいことに実現しているんじゃないかとも思っています。
  
 そして、そんなに多くはないけれど、私の周りにも先生をやっている同期や先輩、後輩がいて、それはもうめちゃくちゃに尊敬しています。
 その情熱は確実に伝わっているぞ、とエールを送りたい。

 私もいつかほんとうに、先生をサポートする仕事を何かしらのかたちで出来たらいいなと思っています。 

 正直、この映画でここまで語れるとは思ってなかったので、見に行ってよかった〜。
先生好きにとっては悶絶映画なので、ぜひ。