友人に捧げる盛大なラブレター~牧凌太から学んだこと~

「おっさんずラブ」映画・ドラマのネタバレ含みますのでご注意ください!





「愛されるよりも、愛したいマジで。」
武川政宗は最後の最後に力強く、そして切実にこう言い放ちました。
この人が言うこの言葉、おっさんずラブの全エピソードの中で一番重かったかもしれない。

 「劇場版おっさんずラブLOVE or DEAD」大変に良い映画でした。まさに涙あり笑いあり。DVD早く買いたいです。
 牧春を中心に大方ハッピーエンドで終わりましたが、冒頭の武川さんのハッピーはまだまだ先になりそうです。。という形で幕を閉じましたね。
 
 愛される幸せもある。
でも誰かを愛する幸せはそれを上回るのかもしれません。
 なぜなら相手がいるから成り立つわけで、、当たり前かもしれないけれど、武川さんや牧が所属するセクシュアリティの中でそれがどれほど難しいことなのか...想像はできても私ごときが理解できることではない。
 
 というか、そもそも男女の関係でさえ、お互いに愛し愛する関係を成立させ、それを育んでいくことってとんでもなく難しいことです。
自分が好きな人が自分を好きになってくれるとは限らないし、逆も然り。

 映画すでに3回見たのですが、幾度となく親愛なるゲイの友人のことを思い出しました。
「牧が幸せになったのだから、武川さんも幸せにしてあげたい。そしてアイツにも幸あれ!!」と心の中で叫びました。
 
 腐女子の私は、男同士の恋愛をコンテンツとして好むという大声では言えない性癖を持っているおかげで、ゲイに対して全く偏見がないどころかむしろ好きだし応援しています。
そりゃあ私としてはそういう性癖を持っている以上、生身のゲイの方々に対して後ろめたい気持ちはあります。いつも妄想してごめんなさい。。
 
 ただ、もちろんセクシュアリティだけで人を見てるわけじゃないので、ゲイでもそうじゃなくても嫌な奴からは距離を取るし、好きな人のことは大事にしたい。
 
 あと最近常々思っているのは、いつかこの世から「性的マイノリティー」という言葉自体がなくなって、性別関係なく当たり前のように片想いをしたり、両想いになったり、失恋したり、、そういう経験や気持ちをみんなが偏見なく、違和感なく分かちあえる世界になってほしい。
 
 恋をして、告白して、フラれたり付き合ったりすることを異性でも同性でも普通にできる世界になって欲しい!
そう簡単に言えることじゃないのかもしれないけれど純に切に願っている!
勿論そもそも恋をするかしないかという、自由の尊重もありきで。
 
 これが、曲がりなりにも腐女子道とパンピー道のどちらもしっかり生きてきた私がいまリアルに思っていることです。
そして、あわよくば…アイツのところに春田創一のような天使が舞い降りてきて、病めるときも健やかなるときも生涯をかけて幸せにしてやってはくれないだろうか。
 
 これまで彼がどんな感情を抱いてきて、どういう葛藤や悩みがあったのかは知らないですが、良いことも悪いことも同じくらい沢山あったことでしょう。
ただ、もしかしたら人よりもちょっと苦しいことの方が多かったかもしれない。
そういう全てをひっくるめて、そしてひっくり返して、彼を幸せにしてやって欲しい。
もしくは、私が輪廻転生のもとで春田創一に生まれ変わり、奴に会いに行きます(笑)

 ここまで彼に入れ込むのって自分でも何なのだろうかと思うのですが、今回映画を見ながら改めて「そうか。私はアイツの事かなり好きなんだな」と自覚したんです。
そりゃ前から好きだけどさ。何かやっぱ好きだな~としみじみ思ったんですよね。
 
 キュートでセクシーで優しくておもしろくて涙もろくて賢くて弱さも強さもあって意地が悪いとこもあるけど心の芯はあったかい。
「春田さんの悪いとこ10個言える」牧みたいに、私も彼のいいとこも悪いとこも含めて好きです。

 映画を見たときに、ふと「牧ってアイツに似ているな」と思ったんです。容姿や口調、性格とかは全然似てないんだけど「寂しさとか悲しさとか諦めみたいなものを抱えている牧とアイツを重ねていたんだな」と、気付きました。
 だからドラマでも猛烈に牧の幸せを願い、「頼むぞ春田」という気持ちで見ていた。
そして映画で牧春のハッピーエンドを見届けた今、彼に言いたい。
「あなたの番です」と。
 
 彼にとっての幸せが何なのか、私が決めることではないし、上から目線で押しつけがましく感じるかもしれない。
私自身のこれまでの失敗や後悔、低すぎる恋愛偏差値など...全てを棚に上げて言います。
 
 誰かを愛し愛されたいと願うなら、絶対にそれを諦めちゃいけない。
 自分の本心から決して逃げずに向き合い続けて欲しい。 
  
 牧が幸せをゲットできたのは、顔がよくてエリートで料理ができて巨根でどSだけど優しくてキスが上手いからかもしれない。
でも何よりも、牧は自分の本心とずっと向き合ってきた過去があった。だから春田と巡り合い、結ばれたのではないかと思います。

 私は第1話の告白が牧の幸せを決定づけたと思っています。あの告白は、牧が人生で最大のチャンスを掴んだ瞬間だった。

 現実的に考えたら、ノンケ相手に風呂場で告白してキスするなんて気が狂っているとしか思えない(笑) 
 でも部長もバレるまでずっと隠していたし、ちずでさえ自分の気持ちに気がつけなかった。そんな中で牧だけは、春田への気持ちをいち早く認めて行動に移したんです。

あの常軌を逸した行動力の裏には、牧のこれまでの葛藤や自問自答の日々を垣間見ることができるなと、私は思っています。
 
 映画では、プライドが高くてカッコ悪いところを見せたくないけど構ってちゃんとしての部分が強く描かれていますが、、
 本来「牧凌太」という男は、自分の本心との向き合いを絶えずおこない、「大事にしたいこと・譲れないものは何なのか?」を事あるごとに考えているような、非常にストイックな奴なのだろうと思います。

 これまでの牧の人生は、ゲイとして辛いこともあったはず。
「色んなことを、もう全部諦めてしまったらどんなに楽だろう」と寂しい気持ちに押しつぶされそうになり、ひとり枕を濡らす夜もあったんじゃないかと思います。
それでも「幸せを諦めたくない」という本心は、ひた隠しにしつつも大事に守っておいた。
 
 つまり何が言いたいのかというと、自分の本心を大事にし続けることと、それをちゃんと伝えること。
これが最終的に幸せを掴んだ牧から学べることです。

 そりゃあね、常に自分の本心だけで生きていたら社会的に上手く立ち回っていけないです。
でも、いざという時に自分の気持ちに素直になって動けるようにしておかないと、いずれ後悔する日がやってくる。
そうなったらもう遅くて、ある日突然「そういえば自分は誰の人生を歩んでいるのだろう」と気がつくんです。怖い。

  私はその後悔が嫌だからなんでも「今だ!」と思ったときに言いたいし、動きたい。
それで誰かを傷つけることもあれば、自分が傷ついて別の意味で後悔することもあります。
 でも、チャンスの数って人生でほんっとうに限られていると思うんです。
そこで動くかどうかでその後の人生が決まるかもしれない。
何もしないで決まる可能性もある。だったら自分から動いて己の人生を決めていきたい。

 牧の場合は「自分はどうしたいか?」をずっと大事にし続けて、いざって時に動いた結果、あんなとんでもない告白を春田にしちゃったわけです。
でも、あれがなかったらもしかしたら違う結果になっていたかもしれない。
 
幸せを掴み取るチャンスがいつやってくるのかは分からないけれど、何気ない日常の中でそのチャンスに巡り合うことはあります。
そこで咄嗟に動けるかどうかは、それまでの間にどれくらい自分と向き合ってきたかによります。

 ですからね、自分はブサイクだからとか、性格悪いから、コミュ障だから、太ってるから、相手に迷惑だから、見合わないから、レズだから、ゲイだから、、とか言って逃げてる場合じゃないんです。
 
 「不完全な自分でも誰かを愛し愛されたい」っていうその本心から目を逸らさず、正直に向き合うべきなんです。
 
 そして「自分が自分を諦めなければ、たとえ時間がかかろうが必ずチャンスはやってくる。」そう信じて動き続けていくしかね、もう無いと思うんです。
 ゲイなのにノンケに恋しちゃって絶望の淵に立ち尽くすしかなかった牧も、そんなビッグドリームから目を逸らさずに向き合ってきたわけです。
ずっと「自分が大事にしたいものは何なのか?」「自分にとっての幸せとは何なのか?」と問い続け、そんな中で春田に出会い、一世一代の勝負をかけた。


 だから、友よ、あんたは大丈夫だから諦めるな。
良い人はいる。ゲイでもノンケでもそれ以外でも良い人は世の中に山ほどいる。巡り会えるかどうか、モノにするかどうかは他でもないあんたに掛かっている。

 瀬川舞香が言っていたように、好きになっちゃいけない人なんていない。
たとえそれが報われなくても、好きなる気持ちに罪はない。それだけは絶対に。

 だから、相手がゲイだろうかノンケだろうか臆せずどんどん人を好きになれば良い。
誰かを好きになる気持ちだけは大事に育てつづけて欲しい。
腐らずに動き続けていれば、いつか必ず来たるべき時がやって来る。
そしたら、最大限の勇気を振り絞って自分の本心をぶちかませ。

 これは、友へのラブレターですが、万が一ここまで読んでくれた方がいたら、初めから最後まで偉そうな口ぶりでごめんなさい。
最後の最後に一般人として腐女子として私からお願いがあります。
 
 この先の人生で、もし同性に好意を持たれるようなことがあっとしたら、まずは相手の気持ちに真摯に向き合って欲しいです。
男だから女だからという理由だけで判断すんじゃなくて、ひとりの人間としてその人を見てください。
 また、そういう苦しみの中でもがいて葛藤している人たちがいることを忘れずに、いま大切な人がいるならその幸せを噛みしめ、もっと大切にしてください。
そして、映画館へ足を運び、「劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD」のチケットを購入してください。大人1900円、毎月1日は1200円です。少なくとも2回は見た方がいいです。

 全ての人に、そして愛するげいちゃんに幸あれ!!!