アルフォートを食べて脳が痺れた話

自粛太り

コロナの自粛期間中に、見事に太った。緊急事態宣言が解除された時点で、5kgほど体重が増加していたのである。
体重計は、これまでの人生で見たことが無い数値を日々更新していく。それを無為に見続け、6月を迎えた。

半分ニートな生活をしている貧乏な独身中年男性が、この上デブってしまったら、目も当てられない。
ダイエットをしなくては。
そう思い立った6月半ば。


ダイエットの方法を考える

ダイエットをする方法としては、大きく分けて2つある。
1つは、消費カロリーを増やすこと。
もう1つは、摂取カロリーを抑えること。

このうち、消費カロリーを増やすのは、実は意外と難しい。
お金を使えばいろいろな方法を採り得るのだが、なにせ貧乏なので、方法が非常に限られてくる。
貧乏人にとって一番手っ取り早いのはジョギングなのだが、週に10km以上走ると膝が痛くなる。これでは、ダイエット効果を得る前に膝が壊れてしまう。
ウォーキングは、運動強度が低すぎて消費カロリーの増加にはほとんど寄与しない。(自粛期間中もウォーキングは週3でやっていた。)

というわけで、お金のかからないダイエット方法となると、消費カロリーを増やすことよりも、摂取カロリーを抑えるほうが効果的であるという結論に達した。

とはいえ、無理なカロリー制限は健康を損なう可能性もあるので、無理の無い緩やかな制限をおこなうことにした。
その結果、摂取する糖質の質と量を見直すことを唯一の指針とすることにした。

具体的には、

・摂取する糖質の量をざっくり半分にする。
・主食は、小麦(パン、ラーメン、パスタ、焼きそば、お好み焼きなど)をなるべく避けて、米を基本とする。
・甘いものは、「糖質を半分に」の範囲内に収まる程度であっても極力避ける。
・間食は、バナナか生野菜。
・飲酒は週1回まで。

という、一見するととても緩い条件だ。
炭水化物絶ちをするわけでもなく、カロリーの上限を決めるわけでもなく、単に糖質を半減させるだけ。

とはいえ、あんまり急激なダイエットも体に悪いので、まずはこれぐらいから始めてみようという軽い気持ちで始めてみた。


結果、どうなったか

ダイエットを始めて約1ヶ月半で、2.5kg程度の減量に成功した。
ゆるやかな成果である。この調子で、せめて自粛前の体重に戻したい。(このままでは、去年の服がパツパツで着れないのである。)

ただ、地味にストレスも溜まるなぁと感じ始めた。

先日は、ポテトチップスを食べる夢を見た。
この取り組みをはじめてから、あんなカロリーお化けは当然のことながら一切口にしていない。が、たまに無性に食べたくなる。それがついに夢に出てきてしまった。

また、この取り組みの影響なのかは分からないが、夜寝付きが悪くなり、朝の寝覚めが悪くなった。
朝、睡眠時間が十分だったとしても倦怠感が強く、なかなか起き上がれないことが増えた。(目覚めてから1時間もすれば、問題なく活動できるようになるのだが。)

カロリー総量的にも十分に生きられるレベルだと思うし、肉や緑黄色野菜も十分に摂取しているつもりなのだが、まさか栄養失調か?


そして、アルフォート

そんななか、昨日の夜(というか、本日未明)、例によって寝付くことができずに悶々としているうちに、午前3時を迎えてしまった。

眠れぬ夏の夜は喉が渇く。
冷蔵庫を開けてお茶を取り出したときに、それが目に入った。
冬に買って冷蔵庫に入れっぱなしだったアルフォート。

この日は、腹が減っていたのと、なんだかイライラしていたのと、二重苦状態で眠気が遠ざかっていた。
(イライラしていたのは、直前に読んでいた本のせいでもあったと思う。)
そんな状態でのアルフォートは、まさに目の毒であった。
ここ1ヶ月半の間鉄の意志で回避してきたアルフォートから、どうしても目が離せなくなってしまった。

アルフォートは、クッキーとミルクチョコレートの絶妙なハーモニーで人々を虜にする、蠱惑的ハイカロリー菓子である。
この誘惑に簡単に屈してしまった僕は、1つだけ食べることにした。
個別包装を開け、一口で頬張った。そして、咀嚼し、嚥下した。

たしかに味はいつものアルフォートである。
なのに、いつものアルフォートでは感じ得ない不思議な感覚を味わうこととなった。

脳が痺れたのである。

もっと具体的に言えば、アルフォートのミルクチョコレートとクッキーが渾然一体となって舌に絡みついた瞬間、脳が大量の快楽物質を分泌し、多幸感に包まれたのである。
それは、「おいしいね」などという生易しい感覚ではなく、脳の細胞一つ一つに麻薬が浸潤してくるような、痺れるとしか表現のしようのない感覚だった。

僕はあまりのことに恍惚としながら、ベッドに戻り横たわった。(今思えば、歯ぐらい磨くべきであったが。)
横になってからも多幸感は続いた。
先程までの空腹感もイライラもキレイさっぱり消え失せて、ただただ安らかな気持ちだった。

人間の脳は、糖質や脂質については必要な量を超えていくらでも欲するように出来ていると言うけれど、まさにそんな脳の素直な反応だったのだと思う。


結論

・ゆるい条件でのゆるやかなダイエットも、十分ストレスフル。
・久しぶりに食べるお菓子は刺激が強すぎる。


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